Devil's story.
□直球ジェラシー
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万魔殿の王室。
一通り仕事が終わり、ルシファーは休憩を摂る。
傍らには、側近であるレヴィアタンがいて、ルシファーの仕事が終わるのを見計らって、既に紅茶と茶菓子の用意ができていた。
「ルシファー様。今日はクッキーにして見ました」
皿に盛られたクッキーの美味しそうな焼き目が、レヴィアタンの料理の腕を物語っている。
早速、一つ食べてみた。
「美味いぞ、レヴィア」
硬さと甘さがルシファーに丁度あっていて、自然と口角が上がる。
「ありがとうございますっ!レヴィア嬉しいです」
横目でレヴィアタンを見ると、ルシファーに褒められ、幸せそうに笑っている。
やっと訪れた静かな午後の一時。
「やあルシファー遊びに来たよ」
それは儚く、いとも簡単にぶち壊された。
「ベリアル…どうした?」
怒気を含めて睨みつけると、ベリアルが肩を竦め、ルシファーの書いた書類が乗った机に座る。
「別にただの暇潰しさ」
クッキーを齧り、レヴィアタンに差し出された紅茶を飲む。
完全にベリアルは客人のつもりのようだ。
「なら帰れ性悪。私は私でやることがある」
ベリアルの後頭部にルシファー直々の手刀が入る。
「嫌だなぁ退屈だし、今日はパイモンはいないのか…」
つまらなそうに言うベリアルに、ルシファーは苛立ちを覚える。レヴィアタンも少し苦い顔をしている。
以前、ベリアルにパイモンが誑かされ、罠に引っ掛かり大怪我を負ったパイモンが、セアルに連れられて、帰って来た事があった。
今、パイモンを別の仕事に行かせてよかったと、ルシファーは思う。
「今日はレヴィアタンか…」
凶悪そうな笑みを浮かべベリアルは呟く。嫌な予感しかしない。
当のレヴィアタンは、キョトンとしているが。
「余計な事はするなよ」
レヴィアタンなら、ベリアルの罠如きでは、かすり傷一つ付ける事が出来ないだろうが、念の為、釘を刺した。
「何、有意義な事さ」
机から立ち上がり、ベリアルはルシファーの元へ歩く。
急に目の前が真っ暗になった。
抱きしめられたのだ。ベリアルに。
「る、る、る、ルシファー様ぁぁぁぁぁっ!!」
レヴィアタンの絶叫が、鳴り響いた。
「怒った」
ルシファーから離れたベリアルは嬉しそうに、笑う。