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□最終章 未来を繋ぐ
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「エフラム様」
ヒーニアス達を見送った後、ルネス城に入ろうとした直前にゼトがエフラムを引き止めた。
「どうした?ゼト」
「ご報告したい件が…つい先程、グラド帝国領にて大きな地揺れが起きたとの知らせが入りました。被害は甚大で市街は壊滅状態。かなり深刻な状況との事です」
それはリオンが一番恐れていた出来事。
この地揺れが起きた事で犠牲になった人々はきっととても多い。
リオンが…その天災からただグラドの民を守りたかったのも、分かっている。
「グラドが…分かった。城に戻った後、すぐに向かおう」
エフラムは報告を聞いて最初こそ驚いていたが、すぐに真剣な表情に変わり強く頷いた。
そしてルネス城の中へと入る。
ここに来るのはルネス奪還戦以来…だからお城も荒れたままの状態だ。
「ナマエ、お前もグラドへ一緒に来てくれ」
「分かりました」
そこへエイリークが声を掛けてくる。
「兄上、ナマエ。どちらに行かれるのですか?せっかくルネスに戻ってきたばかりなのに…」
「すまん、エイリーク。俺達はグラドへ行かねばならない」
さっきゼトから報告を受けた件をエイリークに説明する。
そして彼女はその間ルネスを守るとエフラムと約束を交わした。
「ルネスでお二人のお帰りをお待ちしております」
「頼むエイリーク。リオン…俺は王になる。昔、お前と語り合ったような強さと優しさを備えた理想の王に。ルネスの民もグラドの民も、もう死なせはしない。だから見ててくれ…」
目を閉じながら胸に手を当てて、エフラムはそう呟いた。
空から見守ってくれている親友に語りかけるように。
大丈夫……
その言葉はきっと、リオンに届いてるよ。
「さあ、グラドへ出発するぞ」
「はい」
私とエフラムは彼の馬に乗って早速グラドへと出発した。
「!エフラム様…」
「ああ…これは想像以上だ…」
ルネスを発って数日、グラドに到着した私達。
ゼトの報告にあった通り大地は大きく裂け、建物はほぼ崩壊寸前なものや既に崩れてしまっているものばかり。
以前戦いでグラドに来た時に見た光景とは変わり果てた光景が広がっていた。
「これから大変なんてものじゃ済まないくらい多忙な日々が待っているだろう。それでも俺についてきてくれるか?」
エフラムに改めてそう聞かれて、私は笑ってその問いに答えるんだ。
「そのつもりで一緒に来たんです。リオン皇子の想いを守るって、約束しましたから」
王が居なくなったこの国は、代わりに誰かが立て直さなければいけない。
グラドの民が笑って暮らせるようにと願ったリオンの想いを…私達で守るんだ。
「ふ…そうだな。ありがとう」
ねえ、リオン。
私は貴方の事を救えなかったけど…
貴方の救おうとした大切なグラドを、エフラムと一緒に守っていくよ。
たとえどれだけ時間がかかろうとも…もう一度、笑顔が溢れる光景が広がるように。
だから…安心して眠っていてね。
リオン…