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□最終章 未来を繋ぐ
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ルネスまでの道中、仲間達と別れの挨拶を交わす。
最初にロストンに着けば、ラーチェルがこちらを振り返って口を開いた。
「エフラム…では、私はこれで失礼しますわ。ロストンの聖王女である私には、まだまだたくさんの使命がありますの。ルネスとロストンは遠いですけれど…でもそれは、どうとでもなりますわ」
ラーチェルはエフラムから私に視線を移すと、私の手を両手に取り笑顔で話し出す。
「ナマエ、私はまだまだ貴女に興味が尽きませんわ。お互いが落ち着いたら、エイリークやターナも呼んで是非お茶会を開きましょう。貴女の元居た世界でのお話、聞かせてくださいまし」
「ラーチェル様…はい、もちろんです」
「ああ、それと式には必ず招待してくださいね!」
そう言って手を振ってくれる彼女に、手を振り返しながらロストンを後にする。
式って…ちょっと気が早い気がするけど……
でも、それが彼女らしくて嬉しくなる。
そして次はポカラの里の前までやってきて、ミルラが別れ際にこちらへ駆け寄ってくる。
その顔は少し寂しそうだけれど、最初に出会った頃より随分と凛とした顔をしていた。
「エフラム…やっぱり、私は闇の樹海に戻ります。お父さんがいない分も、代わりに私が頑張らないと。でも…あの、また時々会いに行ってもいいですか?」
「ミルラ。ああ、当たり前だろう。何ならこっちからも会いにいくぞ。ナマエも一緒にな」
エフラムがそう言って私に笑い掛けてくれる。
するとミルラも笑って私に抱きついてきてくれた。
「二人が来てくれるなら…すごく嬉しいです」
「うん…絶対にまた会いに来るね」
私も彼女の小さな体をギュッと抱きしめ返す。
大丈夫…離れていても、彼女は一人じゃない。
次に会う時は、きっと不安そうな顔はもうしていないんだろうな。
そしてルネスに帰ってきて、お城の前でヒーニアス達と挨拶を交わす。
「ルネスの再興にフレリアは協力を惜しまない。エフラム、私の協力が必要ならいつでも来るがいい。それと…お前と同じ側で戦うというのも、悪くはなかった」
「ヒーニアス…」
普段素直じゃない彼からの本音。
エフラムはそれを聞いて嬉しそうに笑う。
その様子がヒーニアスは少しむず痒いのか、顔を逸らしてしまった。
「…それだけだ。お前との決着はいずれつける。ナマエの事も含めてだ」
「そうだな。悪いが、ナマエの事となれば絶対に負けはしない」
エフラムに肩を抱かれると同時に二人の間には火花が散り始める。
どうすればいいのか分からず一人ハラハラしていると、無邪気で明るい声が響いた。
「もう、こんな時に喧嘩はやめてよ!ナマエが困ってるじゃない」
ターナが間に入ってくれて、何とかその場の空気が穏やかに戻る。
「これからルネスの復興で大変だと思うけど、私も時間を見つけて手伝いに行くから!ナマエ。エフラムの事、よろしくね」
「はい…!」
お互い両手で固く握手を交わし合う。
重なり合った手から伝わる温度と、目と目が合う事で分かる絆。
思えば、ターナが初めて私と親しくしてくれたんだ。
リグバルト要塞の牢の中という、あまり良くない状況での出会いではあったけれど…
彼女との出会いがあったからこそ、今私はここにいると言っても過言ではない。
「やだ、ナマエったら泣いてるの?」
「ぅ…申し訳、ありませ…!」
思わず涙が込み上げてきて、我慢が出来ず泣いてしまう。
そんな私の様子をターナは笑って頭を撫でてくれた。
「ナマエの事、泣かすなよ」
「泣かしたんじゃなくて、泣いてくれてるのよ。ね?ナマエ」
「ふふ…っ…」
私はただ笑って頷くだけ。
この何気ないやりとりがあまりにも温かくて。
そしてターナは私を優しく抱き締めてくれる。
「またすぐ会えるわ。だからそれまで頑張りましょう!」
「そう、ですね…はいっ」