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□第七章 消えない光
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魔王へと進撃を開始して間もなく、辺りにはたくさんの魔物達が召喚された。
今までに何度も戦ってきた種類ばかり。だからといって油断は出来ない。

「簡単には辿り着かせてくれないか」
「今の私達の敵ではありません。いきましょう」

襲いくる魔物達の相手をしながら、着実に魔王の元へと近づいて行く。
そして魔王の手前まで来た時、奴は口を開いた。


「我の元まで来るか…忌々しい人間共。よかろう。我が力、見るがいい!!」


その時、とてつもなく強い衝撃波が私達を襲う。

「!?くっ…!」
「きゃあぁっ…!」

私を含めみんな膝をついてしまい、立っていられない程の重傷を負ってしまう。
それはあまりにも強烈なもので、まるで身を裂かれるようだった。


「なんて、強力な力なの…」
「こんな奴に本当に勝てるのかよ…?」


仲間達は魔王の強大な力を目の当たりにして少し弱気になっているみたい…

でも…ここで折れるわけにはいかない……
またみんなが立ち上がれるように、傷を癒さないと…!


「!ラトナの、杖…」


エフラムとラーチェルに託されたロストンの双聖器の一つ。
この杖は…味方全員の体力を全回復するもの。

今使わないでどうするんだ…!


「…皆さん、諦めてはいけません…っ!」


何とか力を振り絞ってラトナの杖を掲げた。
杖は光を発し、仲間一人一人の身体をその光が優しく包む。
みんなの顔から苦痛が消えていくのが見えて、私はほっと胸を撫で下ろした。

「傷が…」
「どんどん癒えていきますわ…!ナマエ、貴女ラトナの杖を?」

ラーチェルがハッとした顔で私を見る。
私は彼女に弱々しく笑い掛ける事しか出来ない。
杖を掲げていた腕が力なく下がる。
そのまま地面に倒れるように横になった。

身体に力が入らないや…


「ナマエっ!」
「エフラム様…」


体力が回復したのか、エフラムは立ち上がると私の元へ駆け寄り抱き起してくれた。

良かった…ちゃんと傷が癒えたんだ……

「今お前の傷も…!ラーチェル!」
「ええ、分かっています!」

今度はラーチェルがリカバーの杖で傷を癒してくれる。
私自身も何度か感じた事のある、この温かい感覚…


「…これで大丈夫ですわ」
「ラーチェル様、エフラム様…ありがとうございます」


すっかり傷が癒えた状態に戻り、二人の顔を交互に見てお礼を言う。

「お礼を申し上げるのはこちらの方です!」
「ああ、彼女の言う通りだ。ナマエのおかげでまた立ち上がれる。ありがとう」


私の手を握り締めてそう言ってくれるエフラム。
彼の温もりを感じられる…私、ちゃんと生きてるんだ。
どんなに冷たく絶望する相手でも、この温もりがあれば、私は負けない。

だから…また一緒に立ち上がるんだ。
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