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□第六章 結び合う想い
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謁見の後、ラーチェルの計らいによりみんなそれぞれ部屋を用意してもらって今晩は休む事に。


でも…


「………」


私は自分の部屋のベッドで上の空になっていた。

その理由は…紛れもなくエフラムの事。

きっと今頃、ターナがエフラムを励ましているだろう。
それでエフラムは立ち直る事が出来る…
原作通りに事が進むだけだ。
あとは夜になるのを待つだけ…


それなのに…私の胸は締め付けられてばかりだ。

エフラムが立ち直ってくれるのは嬉しい。本当に…
だけど…正直な気持ちを言うと、ターナじゃなくて私がエフラムを励ましてあげられたらなって…思ったりしてる。

……私、最低だな。
これはただの嫉妬…私が一番よく分かってる。
エフラムに異性としての好意を持ってしまったが故に。
それに…あの場面に居合わせてしまったからというのも大きい。
私は元々この世界には居ないはずの存在…なのに、なんて図々しい思いを抱いてしまったのだろう。

こんな嫌な自分から目を逸らすように、私はそのままベッドへと横になった。



「ナマエ?入ってもいいかな?」



その時、ノックの音がした後ターナの声が扉越しに聞こえてきた。
あまりに突然で心臓が一瞬跳ねながらも慌てて体を起こす。


「ターナ様?どうぞ」


私がそう言えば扉を開けてターナが部屋の中に入ってくる。

どうしてターナが…?
エフラムのところに行ってると思っていたのに…

「あのね、ナマエ。ちょっと貴女にお願いしたい事があって来たの」
「私に?何でしょう…?」


もしかしてどこか怪我でもしてしまっていたのだろうか。
私と彼女の部屋はすぐ近くだったはずだから、私に治療を求めに来たのかもしれない。
すると彼女は私の手を両手で取り、真剣な目で見つめると私の予想とは程遠い事を口にする。



「ナマエにエフラムの事、励ましてあげて欲しいの」



まさかのお願いに思わず目を見開く。

本来ならターナの役目を…私に…?
予想外過ぎる…それに私にとってあまりにも都合が良い展開に少し頭が混乱する。
冗談…なんて言うような性格じゃないのは分かっているから余計に。

「えっと、それはどういう…」
「エフラム、ネレラスを抜けてから様子がおかしいでしょう?きっと何かとても辛い事があったのは分かるわ。一緒に居たナマエなら、その理由は分かってるわよね?」
「………」


ネレラスの奥で起きた出来事…
それはエフラムにとってあまりにも残酷なものだった。
聖石を壊された挙句、リオン本人が魔王だという事実を聞いて、今のエフラムはどう受け止めればいいのか分からない…そんな感情に支配されてしまっているはず。

私は…それを目の前でただ見ている事しか出来なかったんだ。


「今、エフラムに言葉を掛けてあげるべきなのはナマエ、貴女だと思うの」
「そっそんなはずは…幼馴染みであるターナ様こそエフラム様のお傍に居られた方が…」

彼女は私の言葉に首を横に振る。
そして柔らかく微笑んで話すんだ。

「ううん、違うわ。エフラムが必要としてるのは貴女…ナマエなのよ。見てて分かるもの」
「ターナ、様…」


何故ターナがそこまで思うのかは分からない。
だけど…彼女の目を見ていれば、本当にそう思ってくれているのが分かる。

だからこそ、私の胸はこんなにも締め付けられるんだ。


「エフラムなら部屋に居ると思うわ。ナマエ…彼を支えてあげて」
「…はい、分かりました」


私は彼女の両手にもう片方の手を添えると強く頷いた。
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