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□第六章 結び合う想い
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「卵が全て孵るのは防ぎたい…みんな、なるべく早く卵の状態で倒してくれ!」


エフラムの言う通り、卵から魔物が孵るよりも早く倒せるのがベストだ。
さらに卵の状態で倒せば経験値が多く入ったはず。
だからこちらにとって好都合な事しかない。

「あちちち!なんだこれ、すげぇ熱いぞ!」

そう叫ぶ声の主は、火柱の立つ地面の上にいるロス。
あの地面の上に居ればダメージを受け続けてしまう。


「ロス、早くその地面から離れて!」

私は反射的にそう叫ぶと、彼は慌てて安全な地面に移動した。

「急に地面が熱くなって驚いちまったぜ…」
「大丈夫?すぐ治すね…」


ロスの元へ駆け寄って私は杖をかざす。

「ここはさっきみたいな危険な地面が多いから注意して進まないと」
「ん、ありがとな!魔物が卵から孵る前に倒さねぇとって思ったら、そこまで意識がいかなくてよ…」

「ロスってば本当に突っ走るよね〜」

そこへ様子を見ていたのか、ユアンが笑いながら歩いて来た。
彼の言葉にロスはムッとして言い返す。


「なんだと〜!?そういうユアンこそ、前に敵に突っ込んで怪我してたじゃねぇか!」
「あっあれはちゃんと考えての行動だったんだよ!」


二人の間にバチバチと火花が散り始めた頃、私は間に入って両者を引き剥がす。

「もう、二人とも!喧嘩してる場合じゃないでしょう!?」
「う…でもよぉ…」
「…ナマエさん、なんかお姉ちゃんみたい」


ユアンが何とも言えないような顔で見てきた。
確かに今のはちょっとそう思われても仕方ないかも…

一度喧嘩が収まったところで、私は近くにいた彼女を呼んだ。

「ナマエさん、どうしたの?」
「アメリア、また喧嘩が起きないようにこの二人の事お願い出来る?」

彼らと年も近く落ち着いたアメリアなら、この後も任せられる。
私の急なお願いにもかかわらず、彼女は笑顔で頷いてくれた。


「うん、任せて!」
「なっなんだよ…」
「今度はお母さんみたいだ」


ユアンとロスをアメリアに託すと、私はエフラムの元に戻る。
その時彼はちょうどゴーゴンを一体倒したところだった。

「ナマエ。ロスは大丈夫だっか?」
「はい。軽く熱で負傷していただけで、すぐに安全な地面に移動したので」
「そうか。仲間一人一人を気に掛けるその気遣い、いつもながら感心するぞ」

またもや面と向かって褒められると、照れずにはいられない。
顔も赤くなっているけれど…それはこの暑さのせいで誤魔化せるだろう。


「魔物は残り半分くらいといったところか… 」
「もう少しです。一気に倒してしまいましょう!」
「ああ、そうだな」


それからは正直時間との戦いでもあった。
魔物を全て倒し切るのが先か、暑さにやられて体が持たなくなる方が先か。
私の格好はまだ良い方だけど、エフラムやゼトなど鎧を着込んでいる人達は相当辛いはずだ。

それでも…みんな意識を保って頑張っている。
だから簡単に根を上げてなんかいられない。


そして最後の魔物を倒した時だった。
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