Connect

□第三章 待ち受ける者
9ページ/12ページ

「ここ、宝の匂いがぷんぷんするな。ちょっと行ってくるぜ!」


コーマが本能で宝箱を感知したのか、ひとりお城の奥へと走って行く。
相変わらずお宝には目がないんだな…

「コっコーマ!一人じゃ危ないよぉ…!」

彼を心配してネイミーも慌てて付いて行ったけれど…


「二人だけじゃ心配だな…ジスト達、頼めるか?」

エフラムが二人の援護を頼んだのはジスト傭兵団の人達。

「王子様の頼みとなりゃあ断れねぇな」
「お宝を盗むのなら私もいた方が効率的よね?」
「邪魔な奴は斬る。それだけ」
「僕の腕の見せ所だねー!」

ジスト達はコーマ達を援護するため先に進んで行った。


あと近くにいるのはゼト、フォルデ、カイルのみだけど…
エフラムを含めてみんな強いから大丈夫だろう。

問題なのは…バサークにかかるかどうかが心配だ。


「?なんだ、この光は…」


その心配をしている最中、カイルの周りにグルグルと光が回って降り注ぐ。

!うそ、あの光ってまさか…!?


するとカイルはその場でがくんと力が抜けたようになる。

「おい、カイル?大丈夫か…」
「フォルデさん、だめ…!」

心配したフォルデが彼に近付いたため、慌てて私が叫んだ時…


「!?」


予想していた通り、カイルは装備していた剣をその場で思い切り振ったのだ。
フォルデは間一髪でそれをかわしていたけれど…


「おっおい、危ないだろ!」
「敵は…倒す…!」

顔を上げたカイルの目は赤くなっていて、バサークに掛かってしまったのがすぐに分かった。

掛かっちゃったなら仕方ない…私が治すしか…!
私はレストをカイルにかけようと彼に駆け寄る。


「カイルさん!…っ!!」
「危ない!」


彼に近付こうとしたら、フォルデの時と同じように剣を振り回された。
エフラムが咄嗟に守ってくれたけど…これではレストをかける事ができない。


「ナマエ、俺がカイルの攻撃を引き受ける。そのうちにレストをかけてくれ!」
「わっ分かりました!」

エフラムは槍でカイルが振り下ろした剣を受け止める。
私はその隙に近付くと急いでレストの杖をかざした。

レストから放たれる光にカイルの赤くなっていた目が正常に戻っていく。


「!私は何を…」
「良かった…元に戻ったんですね」


いつもの彼に戻りホッと胸を撫で下ろす。

「カイルお前、味方に攻撃してくるなよな!エフラム様やナマエも巻き込んで!」
「!?こっこれはとんだご無礼を…!申し訳ありません、エフラム様!!」

フォルデの話にカイルはさっと顔が青ざめ、慌ててエフラムに頭を下げた。


「いや、俺は大丈夫だ。それよりもお前を治してくれたのはナマエなんだ。彼女に何か言うべきなんじゃないか?」

カイルはハッとした表情を浮かべると私に向き直る。


「また貴女に助けられたな。ナマエ、ありがとう」
「いえ、いいんです。そのための回復要因ですから」


ただ首を横に振ってそう答える。

私はみんなが万全の状態でいられるようにサポート出来れば、それでいいんだ。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ