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□第三章 待ち受ける者
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「エフラム…どこだろう…」


取り敢えず奥に来てみたのはいいけれど、お城の中が広すぎて彼らがどこへ行ったのかが分からなかった。

ゲームでは次の場面で場所が切り替わってて、そこがどこかとは言ってなかったよね…
というか、もし場所が言われていても、どこにあるのかが分からないから結局意味無いんだけど…


「どうしよう…」



「何か困っているの?」



その場に響いた誰かの声。
エフラムじゃない…男性の声が。


私は驚いて反射的に振り返る。


「!?」


そこにいたのは紫色の髪をした青年…
グラド帝国皇子…リオンがいたのだ。


「道にでも迷ったのかい?このお城は広いからね」


この世界に来て、今初めて出会った。
今目の前にいるリオンはとても穏やかな顔をしていて…

でも…その表情とは逆に背筋が凍りそうな雰囲気が漂っている。


どうして…?
こんなのゲームではなかったはず…


「…君、何者かな?この世界の人じゃないよね」
「!」


心臓の鼓動が速くなっていく。
寧ろ痛いくらいだ。
呼吸をするのも追いつかない程に…


「この前、感じた事もない気配を感じてね。まさかとは思うけど…それは君の存在?」
「わたし、は…」


声が、体が震えている。
怖い…
ただその感情だけが今の私の中を支配していた。


どうして、この人は私の事を……



「!?ナマエ!!」



耳に届いたその声に一瞬我に帰る事が出来た。
気付けばエフラムがリオンから庇うよう私の前に立ってくれていたのだ。


「リオン、ナマエに何をしたんだ…!?」
「邪魔が入っちゃったみたいだね。君の事はまた今度じっくりと聞かせてもらうよ… ナマエ」


リオンは不敵な笑みを浮かべながらそれだけ言うと、魔法陣と共に去ってしまった。
彼が居なくなると同時に静かな空間が生まれる。


「リオン……!ナマエ、大丈夫か?何もされていないか?」
「ぁ……」


エフラムが心配そうに私に振り返る。

何か、答えなきゃ…
そう思って声を出そうとした。

けれど……


「っ…」
「!?おい…!」


私はその場に腰が抜けたようにへたり込んでしまった。


リオンが…私を見るあの目……
まるで全てを知っているみたいだった。
私が何も答えずとも、分かっているような……

あの時感じていた恐怖がまだ残ってる。
恐怖で、不安で…足に力が入らないんだ。



「……少しの間だけ、我慢していてくれ」



次の瞬間、私の体が突然ふわりと宙に浮いた。
一瞬何が起きたのか分からなかったけれど…答えは簡単。

エフラムが私を横抱きにしてきたのだ。


「エフラム様…!?こんな、お手を煩わせるわけには…!」
「お前を置いていく訳にもいかないからな。立てないなら俺がつれていく」


確かにこうしてもらわなければ私はしばらく動く事が出来ないだろう。
だから…私は大人しく彼に身を委ねる事にした。


「…ありがとう、ございます……」


彼は返事をする代わりにか、私に静かに笑ってくれたのだった。
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