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□第二章 勇気をくれるのは
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しばらくすると船が動きを止めた。

タイゼルに着いたみたいだね…


すると向こうからエフラムとゼトの会話が聞こえてくる。
会話の内容までは聞こえなくても、何を話しているかは分かってしまう。

そこへ一人の少女…ミルラがエフラムに声を掛けたが、やはり戻って行ってしまった。


ミルラ…ごめんね、何も出来なくて……


分かっているのに何も出来ない自分が情けなくて、私はただ心の中で謝る事しか出来なかった。



「エフラム様!敵襲です!市街に潜んでいたグラド兵が奇襲を!」



その時、一人の兵士が慌てた様子でそう伝えてきた。
その一言で私達の間には緊張が走る。


「エフラム様」
「全軍戦闘準備!応戦する!」


待ち伏せされていたのならもう突破するしかない。

それに…ここではまた新たに仲間に出来る人がいる。
しかも二人だ。

最初に仲間に出来る彼は確かあの村にいるから…


「ナマエ」


ゲームでの記憶を巡らせていると、またエフラムが声を掛けてきてくれた。

「あまり休息が取れない中での連戦だが…出来ればまた君にも出て欲しい。大丈夫か?」
「もちろんです。皆さんが頑張ってくれてるんですから、私も頑張らないといけませんので…」


本当はまだ少し怖い思いもある。

でも、今はもっと経験をこなして、よりみんなの役に立てるようになりたいっていう思いの方が断然強かった。


それに…エフラムが傍にいてくれるから、戦場で立っていられるんだ。


「分かった。頼りにしているぞ」
「はい!」


彼の言葉一つだけで、私は頑張れる。
私は手に持つ杖をキュッと握り締めた。





船を出れば市街には敵兵達が既に待ち構えている。
大きく深呼吸をして気持ちを整え、よしっと一歩踏み出そうとした。


「ナマエさん、ちょっとお待ちください」


誰かに呼び止められ思わず足を止めた。
呼び止めたのはどうやらアスレイのようだ。


「アスレイさん?」
「いきなりすみません。あなたにこれをお渡ししておきたくて」

そう言って渡してきたのはライブよりも多く回復出来る杖、リライブだった。

「これは…」
「先程の戦闘でトーチの杖も使われていましたので。よろしければこちらもお使いください」
「でも、アスレイさんの分は…?」


私がそう聞くと彼は笑って首を横に振る。


「ああ、大丈夫ですよ。私にはもう一本ありますので」
「あ、そうでしたか…ありがとうございます。受け取らせていただきますね」
「はい。あなたの活躍、期待しています。どうかご武運を」
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