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□第二章 勇気をくれるのは
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するとエフラムをじっと見つめていたフォルデが口を開く。


「エフラム様、何か雰囲気変わりました?」


急にそんな事を言われてエフラムは不思議そうな顔をする。

無論、私も…


「俺が?そうなのか?」
「まあ、何となくですけど。いつもより柔らかくなったというか」
「フォルデ、口を慎め」

フォルデにそう言われても当の本人は自覚が無いようだ。


うーん…正直なところ、私にもよく分からないかも……
でも、今までずっと近くで見てきた彼が言うのならそうなのかもしれない。


「よく分からんが、戦闘に戻るぞ」


エフラムの一言で再び戦闘に戻り、私はまた彼に守ってもらう事に。


「君の言う通り彼女達も協力に応じてくれた」
「良かった…仲間が増えるのは嬉しいですね」
「そうだな。声を掛けて良かった」


それからは敵将のデスガーゴイルを討つ事に成功し、魔物達を全て倒すことが出来た。


「魔物は掃討しました。敵船にも潜んでいる様子はありません」


ゼトが状況をエフラムに伝える。

霧が晴れて魔物のいない海はやっぱり静かで綺麗…
やっぱりこうあるべきだよね。


「ええ、これで正義は守られましたわ」


そこへさっき仲間になってくれたばかりの女性…ラーチェルが嬉しそうに言った。

「すまない。君のおかげで助かった」
「構いませんわ。私、ラーチェルと申します。正義と秩序のために魔物退治を続けておりますの」


ラーチェルとの会話もゲームで見たものと全く同じだ。

改めて見ると、彼女もとても美人さんで思わず見惚れてしまう。
ドズラもあの豪快さは変わらないようで。
ラーチェルが居るだけで何だか明るい気分にさせてくれる気がするな。



そしてラーチェル達の自己紹介も済み、後はタイゼルに着くのを待つのみとなった。


「そこのあなた。ちょっといいですの」


甲板に出て海を眺めていたら、ラーチェルが私に声を掛けてきた。

「ラーチェル様?私に何かご用でしょうか?」
「ええ。あなたのその格好、とても変わっていますのね。私、各地を回っておりましたがそんな服はまだ見た事がありませんの」


何かと思ったらまさか服の事を言われるとは。
いや、でも不思議に思われても仕方ないか…
ターナと同じ事を聞くくらいには、珍しく写って見えるんだろう。


「その服はどこのものですの?」
「これは……、わっ私の母の手作りなんです!」


また咄嗟に嘘をついてしまう。
しかもターナの時とは違い、今度は母親に作ってもらったなんて言ってしまった。


「まあ、あなたのお母様はとても変わった服をお作りになられるのですわね。いつか他の服も見せていただきたいですわ」
「あー…機会があれば、是非……」
「嬉しいですわ!その時は我が国ロストンに招待致します。今から楽しみですわね!」


どうしよう…すごく嬉しそうだ。

私の馬鹿…!
でも、こうでも言わないと信じてもらえないだろうし……


「私、あなたに興味が湧きましてよ。お名前は?」
「あ…申し遅れました、私はナマエと申します」
「ナマエ、素敵な名前ですわね。これからよろしくお願い致しますわ」


私は複雑に思いながらも、笑顔で差し出されたその手を取ったのだった。
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