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□第二章 勇気をくれるのは
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「くっ…!」


苦しげな声が耳に届き、その声の方へと目を向ける。
少し遠くの方で戦っていた緑の騎士…カイルが負傷してしまっていた。

私は反射的に体が動いて彼に駆け寄る。


「カイルさん!」
「!君は… ナマエ、だったか」
「はい。今お怪我を治しますね…」


私は彼の傷口に杖をかざす。
青い光が包み込むようにその傷を段々と癒していく。

「…これで大丈夫です」
「ありがとう、助かった」

「早速ナマエの世話になってるのか」


そこへカイルとは対照的な赤い騎士、フォルデも駆け寄ってきた。

あ…何か嫌な予感が……


「フォルデ…」
「お前、治療してもらってる時彼女に見惚れてただろ」
「な…!そんな事はない!」
「お、照れてるな〜」


私の嫌な予感が的中してしまった。

このコンビ、仲が良いのはいいけど戦闘中はやめた方がいいんじゃ…


…ここは止めるべきか……


「あっあの…!」



「そこまでにしておけ。フォルデ、カイル」



ある人の声が聞こえてくると、二人はピタリと言い争いをやめた。
見ると向こうの船からエフラムがこちらに戻ってきている。

あ…ラーチェル達、協力してくれるようになったんだね。


「エっエフラム様…大変失礼致しました」
「今は戦闘中だ。言い争うのは戦いが終わってからにしてくれ」


彼の一言で二人はピタリと言い争いをやめた。
そしてエフラムは次に私へと視線を移す。


「大丈夫だったか?クーガーは…いないようだが」
「あ…はい、クーガーさんはしっかりと守ってくださいました。丁度カイルさんが怪我をされていたので、思わず駆け寄ってしまって……」


そういえばクーガーに何も言わないまま来ちゃったな…
クーガーの方に目を向けると彼は魔物と交戦していた。

後でちゃんとお礼を言っておこう。


「そうか。その心遣いはとても良いものだ。だが、一人で行動するのは避けてくれ。たとえ一瞬でも、その一瞬に不意をつかれるかもしれんからな」
「エフラム様…はい、気を付けます」


彼の言う通りだ。
ただでさえ霧が濃くて視界が悪い中、突然敵が現れて襲われる可能性は十分にある。

私はもっと警戒をしようと強く思ったのだった。
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