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□第二章 勇気をくれるのは
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「!もう一隻だと…!?怯むな。このまま迎え撃つぞ!」


しばらくした頃、魔物達の乗る船の隣にもう一隻の船が現れた。
突然の事にエフラムは警戒を強めている。


ううん、あれは魔物達がいる船じゃない。
あの船は……



「正義と秩序の使者ラーチェル、ここに参上ですわ!海を荒らす邪悪な幽霊船は、私が成敗いたします!」



聞いた事のある声と台詞が広い海に響き渡る。
敵なんかじゃない、強力な助っ人の登場だ。


「彼女達はベスロンの港で会った…」
「あの不思議な方達ですね。…エフラム様、彼女達は悪い方達ではないと思います。話せば協力してくださるかもしれません」

私がそう言えばエフラムはうん、と頷いた。

「ああ、そうだな。協力してくれるよう掛け合ってみよう。クーガー!」

そこへ近くにいたクーガーに声を掛ける。
エフラムの呼び声にクーガーは真っ先に飛んできた。


「何か用だろうか、エフラム王子」
「俺は今からあの者達に協力を申し出てくる。ナマエをその間守ってやってくれないか」
「ああ。任せてくれ」

クーガーの返事を聞くとエフラムは頷いて、ラーチェル達のいる船へ走って行く。


「あんた、杖を使えたんだな」
「これは…ナターシャさんとターナ様のおかげなんです」


そう…彼女達のおかげで私は杖を使えるようになったんだ。
だから今こうしてここに立っていられる。


「今まで何も使っていなかったのに大したものだ。その力、どこまで伸びるのか見ものだな!」


言い終わると同時に彼は私の真後ろへと槍を突きつける。
振り返るとそこには既に絶命したスケルトンが灰になって消えていくところだった。


ぜ…全然気付かなかった……


「あっありがとう、ございます…!」
「いや、いいんだ。しかし霧が濃いな…悪いが、トーチの杖を頼めるか」
「分かりました」

最初にトーチを使ってから結構時間が経っていたため、霧がまた濃くなってきている。
私はもう一度トーチをかざすと辺りの霧を晴らした。

霧が晴れた先にはまだまだ魔物たちの姿が確認出来る。

「助かった。これでまた戦いやすくなる」
「私に出来る事なら何でもします。お怪我もされたらすぐに言ってください」

クーガーは“ああ”と言うと、残りの魔物の殲滅にかかった。

大きな竜に乗りながらあの身のこなし…さすがとしか言いようがない。
近くで彼の戦いぶりを見て、改めてその強さを実感出来た気がした。
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