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□番外編1 花咲くお茶会
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※複数のカップリング要素、子ネタあり




良く晴れたある日の昼下がり…


「皆さん、お久しぶりですわ!会えてとても嬉しいです」


笑顔で手を合わせて迎えてくれたのはラーチェルだ。

ここはロストン聖教国の王宮。
今日は彼女からお茶会の招待を受けたため参加しに来た。


「ラーチェル。会えて本当に嬉しいです」
「この度はご招待いただき、ありがとうございます」
「本当に久しぶりよね。最後に会ってから半年ぶりくらいかしら?」


私以外にも招待されているエイリークとターナも久々の再会に喜びの色を見せる。

エイリークとは住んでいる場所が同じだからほぼ毎日顔を合わせているし、ターナはフレリアとの距離が近いため、時間が空いた時などよくルネスに遊びに来てくれる。
遠くのロストンに住むラーチェルだけはやはり中々会いに行く時間がなく、最後に会ってから半年ぶりの再会となってしまった。


「そうですわね。あれからもう半年程経つなんて信じられませんわ。さ、積もる話は私の部屋で!」


ラーチェルに彼女の部屋まで案内してもらい、私達はそれぞれ席に着く。
白を基調とした彼女の部屋は、とても清潔感があってどこか神秘的な雰囲気だ。

そしてお茶の準備が整ったところで本番が始まった。


「そういえば、ナマエは夕方にはお帰りにならなければなりませんのよね?」
「はい、少し残念ですが……」

今日、エイリークとターナはこのまま彼女の部屋に泊まっていく事になっているけれど、ラーチェルの言う通り私は夕方には帰る予定だ。

「ナマエが心配だからって、わざわざエフラムが迎えに来てくれるなんて。ナマエも大変ね」

ターナが苦笑いしながらそう言うけれど、私は笑って首を横に振る。

「いえ…私なんて、エフラムに比べたら全然です。本当は私よりも彼が休むべきなんですが…」
「ナマエ、何もエフラムと比べる事はありませんわ。彼が多忙なのは当たり前ですし、それは王妃である貴女も同じです。今日休むのが貴女だったというだけの事ですわ」


思いもよらぬラーチェルの言葉に少しだけ驚いた。
やっぱり私はエフラム程忙しい訳ではないけれど…

休むべきその時が、今日私に回ってきた。
だから快く許してくれたエフラムに、改めて感謝しないと…

ラーチェルがそう言ってくれたおかげで、私は笑って頷く事が出来たんだ。


「さて、話したい事がありすぎて何から話せば良いのやら…」
「あ、じゃあ聞いても良いかな?ラーチェル、お兄様とは最近どうなの?」

紅茶を飲みかけていたラーチェルは、ターナからの突然の質問に少しむせてしまっていた。

「けほっ…いっいきなり何ですの!?」
「だって、折角恋人同士になったのに、お兄様ともしばらく会えていないでしょう?文通はしているとは聞いてるけど」


ターナの言う通り、なんとラーチェルとヒーニアスが付き合う事になったのだ。

私がエフラムと結婚してからも、ヒーニアスは私に好意を抱いてくれていたけれど、それに応える事は当然出来なかった。
でも戦時中、二人はお互いの国の事をよく話していて、戦後もラーチェルは時間が空いた時にフレリアを訪れてはヒーニアスに会っていたみたいで。

それがきっかけで二人は惹かれ合い、晴れて恋人同士になったんだ。
…元の世界で言うなら、ラーチェルとヒーニアスのペアエンドになったって事だね。


「よく知っていますわね…確かに文通だけはかかさずしていますわ。まだ彼には伝えていませんが、近々またフレリアに行こうと思っていますの」
「本当!?お兄様、絶対に喜ぶわ!」

相変わらず仲が良くて安心した。
二人が付き合うって報告を聞いた時、正直驚いたけれどすぐに納得したのを覚えてる。
どこか合わない二人だけど、寧ろぴったりなんじゃないかと思う。


「私の事より…エイリークはどうですの?」
「わ、私…ですか?」


今度はエイリークが振られ、彼女は少し焦った様子になる。

「ゼトさんとあれから何か進展はあった?」

エイリークはその言葉に少し俯き気味で首を横に振った。
その様子に私達は自然と目を合わせる。


実はエイリークも戦いが終わってから、両想いだったゼトと恋人同士になっていたのだ。
なったのはいいのだけれど、そこから中々進展はしないらしくて…


「そう…でも、落ち込む事はないわよ!きっとゼトさんの事だから、時期をうかがってるんだわ」
「そうですよ、エイリーク。きっと必ず、その時が来ます」

エイリークの手にそっと手を重ねて言えば、俯いていた彼女の顔が上がり、大きな瞳に私が映る。

「みんな…ありがとうございます。焦っても仕方ないですもんね。ゼトを信じて待ってみます」
「その調子ですわ!」


エイリークには言えないけれど…
以前、お城の中庭でゼトが一人でどこか思い耽っているのを見かけたんだ。
その手には…きらりと光るものが、確かに乗せられていた。

だから…もう少しだけ、待ってあげて欲しいな。
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