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□第五章 闇の冒涜者
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王都ルネス…

そこは荒れ果てた様子になっていた。
想像していたよりも荒廃としていて少し息を呑んでしまう程。
その光景を見たエフラムとエイリークの表情は、こんな事になってしまった故郷を目の当たりにしてとても辛く、悲しそうで…

ついこの間まで豊かだった自分の国が、見る影もない姿になってしまったら…
その絶望や悲しみは計り知れないものだろう。


たとえここが自分の故郷でなかったとしても、ひどく心が痛んだ。


「兄上……」
「ここが俺たちの故郷、ルネス王都なのか…?これほどまでに荒れ果てているとは…」


二人のやるせない顔を見るだけで胸が締め付けられる。
エイリークは胸の前で手を合わせて苦しげな表情を浮かべ、エフラムは悔しそうに強く握り締めた拳を微かに震わせていた。


「今、王都にいるのはあの裏切り者オルソンだそうです」

オルソンという名を聞いたエフラムは険しい表情に変わりルネス城を見据えた。

「あの男が…思えば、帝国が侵略してくる前から様子がおかしかったな。ひどく塞ぎ込んでいたようだったが……」
「半年ほど前に妻を亡くされたと、そう聞いています。オルソンの乱心もおそらくそれが影響しての事でしょう。彼の愛妻家ぶりは騎士団の間でも有名でした」
「……」


オルソンが裏切る前はきっと良い人だったんだろうな、と思う。
ゲームではもう心を壊してしまった後の事しか描かれていなかったから、ただの想像ではあるけれど。

でも、愛する人が亡くなってしまう…そんな経験をしないと分からない事なのかもしれない。
奥さんを心から愛していたからこそ、彼は…



そしてお城の中へと進軍しようとした時だった。



「あっあの、エフラム…」


中に入る直前、今まで黙っていたミルラがエフラムに声を掛けた。

「どうした?ミルラ…」
「わっ私も戦います。セライナさんに返してもらった竜石がありますから…その力がなくなるまで頑張れます。エフラムが帰るお家を取り戻しましょう…」


彼女の顔はまだどこか不安が残りつつも、言葉通りに覚悟を決めた強い意志を感じる。

「よろしいのですか?」
「二人のために…私も力になりたいんです…」
「わかった。だが、これだけは約束してくれ。俺たちの傍を離れるなよ」
「はい…」


ミルラの竜石はゲーム通りならいつかは使えなくなってしまうはずだ。
唯一無ニのものだから、タイミングを誤れば戦場で丸腰になる可能性もある。

もしそうなった時は…私も彼女を守ろう。


ミルラの参戦が決まったところで、私達はいよいよルネス城の中へと進軍するために足を進めたのだった。
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