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□第四章 熱い想い
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グラド帝都を後にしジャハナへ向かう私達。
進軍を急ぐ事数時間、だんだんと気温が高くなり暑くなってきた頃…辺りは砂の平地が広がっている。

その砂地の向こう側にようやくジャハナ王宮が見えてきた。


「あれがジャハナ王宮…既に破壊されているのか。くそっ、何があったかは知らないが…あれではエイリーク達も長くは持たないぞ」


確かに王宮はボロボロの状態で酷い有様なのが一目でわかる。

…あそこでエイリーク達はイシュメア様の最期を…

私は見ているのが辛くなり目を逸らす。
そしてエイリーク達を救出するために進撃準備を進めていく。


「ナマエ、ちょっといいか」


エフラムが私に声を掛けてきた。

「どうされましたか?」
「お前にこれを渡そうと思ってな」

そう言われて手渡されたのは一つの指輪。

「それは“導きの指輪”と言われるものらしい。それを使えば上級職に上がれるんだ」
「こんな貴重なものを私に…?」


まさかクラスチェンジアイテムを渡されるとは思ってもみなかった。
でも…私、クラスチェンジ出来るくらい成長出来てるのかな?


「ナマエの成長には目を見張るものがある。それを使えば更に上をいく事が出来るはずだ。俺はお前に期待してるんだ、ナマエ」

目を真っ直ぐに見つめながらそう言われた。
感じたのは…嬉しさと、少しのプレッシャー。


「タイミングはいつでも任せるが…どうする?ただ、あまり遅くなると経験が無駄になってしまうかもしれない」
「えっと…私はもういつでもこれを使えるという事でしょうか?」


今はゲームではないためレベルなんてものは見れない。
ましてや自分が今どのレベルなのかなんて分からないもの…


「俺が見てきた限りそうだと思うぞ。試しに今使ってみるか?」
「いいんですか?」
「ああ。なりたい職を意識して使うんだ」


なりたい職…
私の場合、恐らくだけどなれるのは司祭かヴァルキュリアだよね。

このどちらかになるのだとしなら…



「…分かりました。では、使わせていただきます」



受け取った導きの指輪を胸の前で両手で包み込むようにする。
そして祈るように目を閉じた。

次の瞬間、眩い光が私に降り注いだのを感じた。

風がふわりと吹く感覚がして目を開ける。


「…終わった…?」


目を開ければエフラムが少し驚いたような顔をして私を見ていた。

「成功したみたいだな。これは…司祭になったのか?」
「そのつもり…なのですが…」


よく見たら今まで着ていた服が変わっている事に気付く。
元の世界にいた時のようなものではなくて、この世界に合わせたような衣装で。
肩が出ていて少し恥ずかしいけれど…

なんだか少しくすぐったい気分だ。


「その格好も似合っているぞ」
「!あ…ありがとうございます…」


突然褒められた事に嬉しさを感じながらも照れくさくなってしまう。

でも…エフラムに言われると、すごく嬉しいな……
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