クロック2

□2月3日
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昨日、あいつらが何をやっていたのか…
今日になってやっとその意味が分かった


今日は朝から騒がしかった
通学途中の道で高階と会って今日は一緒に学校の門を潜った

その瞬間

「鬼は外!!」
「おにおに〜!!どっかに飛んでけ〜!!」

俺にニコニコ笑いかけていた高階めがけ何かが集中的に飛んできた
なんだなんだと声がしたほうを向くとそこには満面笑みの二見と槌谷の姿
その二人の手には升に入ったこの時期に良く見るものが待たれていた

ということはさっき高階に当たったのは…

大方予想をつけて高階の方へと視線を戻す

「朝からなんて…」

高階はブルブルと肩を震わせ俯いたままポツリと呟いた
大丈夫か?と覗き込むとその顔はうっすらと笑みを浮かべていて
その笑顔の冷たさにゾクッと背筋に悪寒が走った
高階のそんな表情に気付かないのか
二見と槌谷は豆を投げながらこちらに近づいてきていた

ヤバイ…

巻き込まれたくないと高階の隣から離れようとした瞬間、いきなり腕を掴まれて何かにガシッと包み込まれた
胸の前には太くて長い腕が回されていて、それを無理やり引き剥がそうとする俺に

「先輩ちょっとだけ動かないで…」

頭上から悲しそうな声が聞こえてきて動けなくなった
あの言い方じゃ悪いようにはならないだろうけど…
そう思って黙っていると目の前では二見と槌谷が高階に向かって卑怯者だの人を盾にするなんてだの叫んでる

どっちが卑怯なんだよ…

門を通ったとたんに豆を投げつけてきたおまえらはどうなんだ?と言いたくなる
高階は俺を盾にするように二人に近付くと

「倍にして返しますよ…」

顔に冷酷な笑みを浮かべて槌谷の手に持たれていた豆を奪った
そして豆を奪った槌谷のコトは見向きもせず、その身体は二見の方へと向けられる
高階はおもむろに豆を掴んだかと思うと二見に向けて思いっきり投げつけた

「鬼はさっさと外に行け!!!」
「なに?おまえこそ外に行けば?!」
「アンタのほうでしょう!先輩が迷惑…」

あいつらは小学生のガキか…
ハアとため息を吐きながら足元へと視線を移すとしゃがみこむ槌谷の姿が目に入った
槌谷は両手をパンパン叩きながらワーワー嬉しそうに二人に変な声援を送っている

「火に油注ぐようなまねすんな」

ゴツンと頭を小突くと、槌谷は俺を見上げへへへえ〜と笑った


その後、なかなか終わらない二人の攻防に、ココにいれば豆掃除の手伝いをさせられると思った俺は、3人を残して教室に戻った


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