クロック3

□約束
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デートの前の晩にアナタから電話があった。


『二見?』
「どうしたの?こんな時間に。」
電話が掛かってきたのは11時半。いつもならこの時間には眠っているはずのアナタからの電話。
いやな予感がした。
『ああ、明日のことだけど…』
「ん?何?」
いやな考えを払拭してアナタの言葉をじっと待つ。少しの間があった後、コホンと小さな咳払いが聞こえた。
『おまえ、明日絶対に遅刻すんなよ。」
「え……?」
思っていたものとはまったく意味の異なる言葉が返ってきて一瞬だけ唖然となる。
『オイ、聞いてんのか?』
 返事を返さない俺にアナタの声が不機嫌なものへと変わっていく。顔は見えていないけど、きっと俺が聞いてないと思って拗ねてるんだろうね。今日も学校で会って、明日も休みだけどまた会える。けど、それが分かっていても今すぐアナタに会いたいよ。
「聞いてるよ。ちゃんと」
『ホントかよ…。』
「ほんと、ほんと。だって俺、アナタの声をちゃんと聞くためにテレビ消したのよ。」
『………まあ、いい。明日遅刻したら昼飯おまえの奢りだかんな。』
今までそんなこと言ってきたことないのに、どうしたんだ?急に…?
アナタの突然な言葉に驚くのと同時に少しだけ嬉しくなった。ただ単に待たされたくないだけかも知れない。でも少なくともそれをわざわざ電話で言ってくれるって愛だとおもうのよ。
「え〜?!何なの、それって。」
『おまえ、前に言ってただろ…。』
「ん〜…ああ、10分遅刻はお約束ってやつ?」
以前アナタとまだこんな関係じゃなかったときに俺が言った言葉だ。確かにあのときはそうだったけど、今はアナタだけだからそんなことしないのに。ってか、アナタにはそんなことしたことないよね?
ほんとにいきなりどうしたんだろう。


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