クロック3

□始まりの合図
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「あと5分しかないぞ!」
「はあ?なんでこんなにオーバーしてんだよ?!」
「んなこと知らねえよ!」


周りで聞こえる叫び声
体育の授業が終業のチャイムが鳴っても終わらず、結局次の始業7分前に終わった
体操着から制服に着替える時間はわずか5分しかなく、更衣室の中は慌ただしい
俺も槌谷も二見もせっせと制服に着替えるために身体を動かしていた

「ねえねえ香藤センセ遅刻しないかな!!」
「ねえだろ。諦めてとっとと服着ろよ」
「えぇぇえ!!いっつん時計は12時だよと鳴いてるよぉぉお!!!」
「まあ次終われば昼だし我慢しなさい」
「いやぁぁぁあ!!」
「じゃあおまえだけ行ってこいよ」

冷たく言い放った俺にジトッとした目で見てきた槌谷は、上着に途中まで袖を通した状態で壁に張り付く
るるるぅ〜と言いながら壁から離れてこない槌谷を横目に、俺も上着に袖を通してカバンを持った

「オイ、行くぞ」

壁に張り付く槌谷と後ろで着替えていた二見に続けて視線を移す
槌谷はチラッとこっちを見てきたが動こうとしないし、二見は上着を手に不思議そうな顔をしている
動く様子が見えない二人に『放っていく』という選択肢を選んだ俺はそのまま更衣室の入口に足を進めた

「先行くからな!」
「槌谷、置いてくよ〜」
「ノォォォォォ!!!待ってたもぉ〜!!」

着方が悪かったのか
やけに擦れる上着に気持ち悪さを感じながらも更衣室のドアを開ければ、すぐ後ろには二人の姿が見てとれる
コンパスの差。そう思うと少し悔しい気持ちにもなったが、そんなことは無視して俺は教室への道を早足で歩いていった


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