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□『ただ君が愛おしくて』
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「一護」
「んー?」
「何時までそうしてるつもりだ?」
「えー? 何だよ、嫌かよ?」
「嫌って言うか…何だ、その…」
「?」

頭に?マークを浮かべる一護に冬獅郎は盛大に溜息を吐きたくなった。
その現状といえば、一護がソファに座っている冬獅郎の膝の上に手を乗せ、挙句、その頭までもを乗せているという、冬獅郎にとっては何とも言い難い格好である。
一護自身は、その効果がどれだけのものか知る由も無い。

「だってこの体勢、結構楽なんだよ」
「楽…って言ったって、お前…俺が動けないんだけど…」
「いーじゃねえか。どうせ仕事終わってんだろ?」
「くっ…そりゃそうだが…」

冬獅郎の膝の上で見越したように言う一護に、冬獅郎は思わず舌打ちしそうになった。

(タチが悪りいな…わざとかよ)

それでも、と冬獅郎はつい思ってしまう。
そんな我が儘を許している自分が一番タチが悪いのだと…
どうにも身動きできなくて、冬獅郎は一護の橙色の髪に触れる。

「…ン」
「一護? 寝てんのか?」
「んー? 気持ち良い、冬獅郎の手…」

その言葉に気を良くした冬獅郎は、子どもをあやすような手付きで一護の髪を優しく撫でる。
それに応えるように一護もスリ、と寄り添ってくる。
そんな仕草も愛おしく思えてしまう自分は可笑しいだろうか?と冬獅郎は思う。





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