Short2
□『A mischievous boy』
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いつものように十番隊の隊舎を訪れたは良いが、一護は入り口のところで固まったように動かなかった。
その顔はまさに衝撃的、というのがピッタリ合う程で。
「と、冬獅郎が…ち、小さいっ!?」
普段ならそこで、日番谷冬獅郎の怒りの制裁が下される筈なのだが、今日はいつもと勝手が違った。なぜなら。
「あ、いちご!」
気づいた少年に思いっ切り飛び付かれて、一護は後頭部をもろに床にぶつけた。
しかし、飛び込んで来た少年を放す訳にもいかず、衝撃は一護にのみ与えられた。
一護に飛び付いて来た少年の方はと言えば、ギュッ、としがみ付いて離れない。その締め付けが思った以上に強かったのか。
「ぐ、ぐるしい…」
少年を抱えたまま床で寝転ぶ一護は、苦しそうに少年を引き離そうとした。しかし。
―ぎゅぅうううっ。
少年の力は更に増し、一護をより圧迫させた。と、そんなところに漸く助っ人。
乱菊がおかしそうに笑いながら、少年を一護から引き剥がした。
一護から引き剥がされた少年は、不服そうに眼だけで乱菊に訴えたが、にこりと微笑まれて相殺。渋々、という感じで、大人しく引き下がるのだった。
「ゼェ、ゼェ…し、死ぬかと思った…」
「ホント大変そうねぇ〜」
「そう思うんなら、もうちょと早く助けてくれよ!」
「だって面白いし〜」
「………」
そうだよねこの人こんな人だよね、と思いながら、一護は起き上がって、未だ乱菊に捕まえられている少年に眼をやった。
ジッと見つめて、乱菊に今度は視線を向ける。
「冬獅郎…だよな…?」
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