短編小説A
□ガイ様華麗に弱点克服☆
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「取り敢えず、ガイがアニスを宿まで運んで。そこからじゃないと、私もナタリアも治癒術使わないから」
「……」
「アニスちゃんの身は、ガイにかかってるんだからね。傷一つでも残ったら、責任とってよね」
アニスはガイに向けて、トクナガを投げる。
ティアとナタリアは武器を構えた。
「ちょっと……」
「大丈夫。力は加減するから、街も店も破壊しないわ」
「狙うのは、アニスだけですもの」
「……あんまり痛くしないでよ?」
これから起こるであろう事を否定したかったが、彼女達の様子を見る限り、無理だろう。
「始めるわよ」
「ええ」
しかし、目の前で女性が傷つくのを黙って見ている事などできない。
ガイはアニスの前に立った。
「ちょっと、落ち着こう。な?」
「はわ……」
「あら」
「まあ」
「……?」
自分はおかしな行動をしただろうか、と考える。
「きゃわ〜ん。ガイに庇ってもらっちゃった〜♪」
「ガイ!それでこそ立派な殿方ですわっ!」
「ガイ、やればできるじゃない」
何をそんなに盛り上がっているのか。
ふと左腕を見ると、自分ではない「誰か」の手。
「うわあぁっ!!」
三人娘から慌てて距離をとる。
「ちっ、ダメか」
「うまくいったと思ったのに……」
「では、作戦2に移りませんこと?」
(もう何もやらなくていいから……)
めちゃくちゃ速い心臓を押さえるように胸に手を置き、願った。
が、そんなガイを無視して彼女達は『作戦2』の準備を始める。
「あのさ、俺……」
遠慮がちに声をかけるも、彼女達はジャンケンに夢中で気づいていない。
決着がつかず、暫く続くジャンケン。
「ねえ」
ジャンケンを続けながら、ティアが声をかけた。
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