短編小説A
□オヤジの悩み
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「ちょっと、クー。どうしたのさ、アレ」
「……さあ?」
「ジェイ、何か知ってるか?」
「残念ながら」
「どうしましょうかねぇ」
「取り敢えず、声かけてみたらどうじゃ」
オ ヤ ジ の 悩 み
特に用事のないある日の事。
いつものように自然に、ウィルの家に集まったメンバー達を迎えたのは、彼の溜め息だった。
溜め息だけなら、皆それ程気にしなかっただろう。
ウィルが纏う黒く重い空気に、言葉をかけられなくなったのだ。
「お兄ちゃん、遅くなっ……どうしたの?」
部屋の入り口付近に立ち止まっているセネル達。
部屋の奥から流れてくる黒い空気。
「シャーリィ……。実は……」
事情(と言っても、ウィルが落ち込んでいるらしいという事しか知らない)を説明した。
「いつもの事でしょ」
そう言うと、勝手に湯を沸かし、お茶を入れ、ソファで寛いだ。
「えー! ウィルさんが!?」
「……」
どうつっこめばいいのか分からず、取り敢えず黙ってみた。
「そういう事は、早く言ってよ!」
「言ってるから!」
「ウィルっち、どったの〜?」
部屋の隅に座り込んでいるウィルに立ち向かう(?)勇敢なノーマ。
ウィルがどう返すのか、固唾を呑んで見守るメンバー。
「フッ。まないた」
「Σ!!」
空気が瞬間冷凍されたような気がした。
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