短編小説A

□ガイ様華麗なる悲劇
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麗らかな午後。


ゆっくりとしたティータイム。



が、素敵な幼馴染みによって、悲劇へと向かった。byガイ。










ガイ様華麗なる悲劇











「ガイ〜v」


可愛らしく声を合わせ、ガイを呼ぶのは、ルークとナタリア。

ガイは『何か』を全身で感じ取ったが、取り敢えず笑顔で応えた。


「どうしたんだ?」


にこにこと笑う二人は、白い箱を取り出した。


「俺とナタリアで作ったんだ」

「レモンタルトですわ」


自信満々に箱を開ける二人に、何も言えなかった。

視界に入る『物体』をレモンタルトだと思い込む事にした。

それ以前に、何故レモンタルトを作ったのか……。


「大丈夫うまい。心配すんなって」

「ええ。タルト生地は、アッシュに手伝って頂きましたわ」


となると、この謎(?)の部分を二人で作ったというのだろうか。



(何で止めないんだ、アッシュ。俺の事恨んでいるのか!)

(俺にこの二人は止められない……)

(そこを何とかするのが、お前の役目だろうが)

(知るかっ)



……便利連絡網?

何故この二人が?などという疑問は、彼方へ捨て去ってほしい。


「……やっぱ、嫌か」

「私達、料理は苦手ですものね」


見ていられない程の落ち込みっぷりに、罪悪感が胸を支配する。


「……せっかく作ってくれたんだし、食べるよ」

「本当かっ!(瞳キラキラ)」

「さすが、ガイですわね(瞳キラキラ)」


諦めというべきか、覚悟というべきか、ガイは溜め息を一つ吐いた。

思い切ってフォークを突き刺した。


「……」


未だキラキラと輝かせた瞳をガイに向けるルークとナタリア。

この後の展開をリアルに流す頭を振って、口に運んだ。


「おいしい?」

「おいしいですわよね?」


期待に満ちたまなざしに応えられない。


「これ……なんだ?」

「レモンタルト」

「ですわよ?」

「ガイがおいしく食べられるように工夫したんだ」

「ええ」

口元を押さえ、無邪気な笑みを浮かべる幼馴染みに目をやる。




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