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□8Memory
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「オハヨーゴザイマス」



『…』



気配を感じて目を開けるとそこには見知った、故に朝から見たくない顔が。



『…なんでいんの』



珍しくパンドラの制服を着ているブレイクがニッコリと笑う。
その悪魔の笑いに何かあると思うのは長年の内に鍛えられた予知能力だろうか。



「仕事ですヨ。パンドラ構成員として」



『…へえ。 いってらっしゃい』



頭の隅で点滅する嫌な考えを無理矢理眠いせいにして、布団に頭ごと潜ろうとしたロナ。


しかしそれは叶うわけがなく、バッと布団をもぎ取られた。



「私が何のために来たと思ってるんデスカ。
あなたも行くんですよ」



『は!?』



予想的中。

嫌な予知がバッチリ現実と化す。



『え、やだよ。
私昨日から寝不足だし』



「デワ、入口で馬車を待たせてるんで」



『人の話を聞けぇぇぇえ!』



ロナの叫びも虚しく、すぐにブレイクは外へ出ていった。


どこまで自分勝手なのか考えることも呆れる。



『えーと…』



布団から出てクローゼットに向かう。


ふと横を見るとモノクロの丸テー
ブルに置かれた―積まれた資料の山。


昨夜の徹夜の原因である。



『…』



小さくため息をつくと、ロナは止めた足を再びクローゼットの方へ動かした。



深緑と紫色の服を着てポンチョは羽織らず、変わりに羽織るのはパンドラの制服。

めんどくさいボタンやらをとめて、下のマントも身につけると身嗜みを軽く片付けて部屋を出た。












「あれ、ロナ出かけるの?」



入口に向かう途中、バッタリ会ったのはオズ。
いつも一緒にいるのだろうギルバートは見当たらないが朝ということもあり、
アリスというチェインを起こしに行くところだろう。


彼女がチェインであることには変わりないが、その行動や感情は限りなく人間に近い。



『おはよ、オズ。
…うん、一応ね。 ブレイクに朝からたたき起こされるくらいだから』



もはや嫌でも慣れてしまうこの事態に、半分以上があきらめでしかない。



ロナの苦笑にオズは、ははと笑った。



「確かロナも構成員だったしね。
オレはこれからアリス起こしにいくよ」



笑う姿は本当に子供らしいのだが。
『そう。じゃあ私もそろそろ行かなくちゃ。
またね、オズ』



「うん。いってらっしゃい」



パタパタと走っていくオズに少しながらの元気をもらい、ロナはその姿をみて微笑む。



そしてそのまま体の向きをもとに戻し、再び入口へ向かった。












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