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□7Memory
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『ずっと一緒だよ。
きっとまた会える』
そう笑顔で言うキミは一体どこに消えた?
けして届かないその手を私はどれだけ伸ばし、そして同じくらい後悔した。
―けして届かない。
今でもこんなに、名前を呼んでいるのに―…
『…』
目が覚めなかった少女の目覚めは呆気なかった。
長い睫毛を微かに震わせて虚ろな瞳を開いた少女は真っ先に見えた天井を見つめる。
そしてその紫色の瞳が大きく見開かれるまでさほど時間はかからなかった。
『私…』
紛れも無い自分の部屋。
自分のベッドで寝ていた自分。
上体を起こすと閉ざされたカーテンから差し込む淡い月光りから時間が夜を指しているのだとわかった。
いつの間にかラトウィッジ校から帰ってきている。
『(確か…最後にギルと会って…?)』
頭を押さえるようにして思い出す。
「おいロナ!?」
心配をかけずに頭痛を我慢していた結果結局別の人に心配をかけてしまった、と苦笑した。
小さな音を立てながらベッドを出ると、自分が質素なワンピースを着ていることに気づく。
『(…制服、汚れてたからなぁ)』
裸足のまま部屋の角にあるクローゼットを開け、いつもの服を出した。
一見スカートに見える深緑色のショートパンツに薄紫のシャツ、その上から羽織るポンチョは淡い紺だ。
すらりと伸びた白い足に茶色のブーツを履くと、自然とため息が漏れた。
コツ、とブーツが床を叩く音を聞きながら薄暗い室内を窓に向かって歩いた。
簡単な鍵がかかっている窓を開けると度の過ぎない丁度いい風が中に入ってきた。
『綺麗』
そこから見えた月に思わず感嘆の声が漏れた。
深い漆黒の夜に浮かぶ青白い月の光りは寛大で、真っ暗だった部屋の中でさえも青白く照らす。
ロナの緋色の髪が風に吹かれて揺れた。
“何もない”。
そんな日を思うと自然と笑顔になる。
耳を澄ませれば下から聞こえる楽しそうな声。
窓から身を乗り出して下を覗くと広く作ってあるテラスから明かりが漏れていた。
それを見て
ロナは微笑むと、窓の淵に立った。
月の明かりがそれを照らし、彼女の部屋に彼女の影をつくる。
ふっと見えたロナの横顔が微笑んだかと思うと―
ラトウィッジ校の図書室でもやった通り、
そのまま下のテラス目掛けて飛び降りた。
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