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□6Memory
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『…ん』




瞼を通して感じる光の加減と人の動きが、朦朧としていたロナの意識を戻した。




「お、起きたか」




上半身だけを起こし、まだハッキリしない頭を抑えていると隣から聞こえた声。

まだ意識を戻さないオズの隣にリーオが座り、その前にエリオットが立っていた。



『なんかすごいことになってるね』



部屋を見渡すと壁や天井もろともにヒビが入り、その一部が砂塵化している。

一言に何もなかった、と言えるような状態ではない。



「オレ等も詳しくは知らねえ。
…それより、ロナはここにいるか?」



『え?』



質問を質問で返す。
エリオットの言う質問の意味がわからない。



「オレはこれから出口を探しに行く。…お前はどうする?」



「ちなみに僕はここに残ってるよ」



リーオが付け足す。

少し迷ってから、ロナが立ち上がった。



『じゃあ私も行こうかな。
…ちょっと空気の入れ換えしたいし』



それを聞いてエリオットは「そうか」と小さく笑うと、部屋に繋がる廊下に踏み出した。
少し遅れてロナも小走
りでついていく。




『はー…先生達の説明がめんどくさそうだねぇ…』


ガクン、と肩を落としロナは苦労を出した。
しかし前を歩くエリオットは生返事しかしない。
ついさっきリーオと別れてきてからずっとこの調子だった。ロナが話しかけても返ってくるのは生返事。


『エリオット、落ち込んでる?』


「はぁ!?」


意図が掴めないロナの一言が、エリオットの生返事を崩した。変わりに返ってきたのは驚きの反応。


『うーん、ちょっと言ってみただけ。…当たり?』


からかうような口調で話すロナに、エリオットは前にある階段を上りながら話しはじめた。


「…なんで言わなかった」


『何を?』


「オレやリーオが何かお前について知ってたら、もしかしたら今回…」


えー、無理だよ、と彼女は緊張感を感じられない一言で済ませた。
ヒールを楽しそうに鳴らしながら、エリオットよりも先に階段を上る。


「あれはバスカヴィルだったんだぞ!?
それが何を意味するのかお前にもわかって『うわっ! 外だ〜』話しを聞け!」


声を荒げるエリオットなんかは気にかけず外へさっき
よりも速い速度で向かうロナ。


『エリオット』


彼がまだ階段を上がっている途中、彼女は上から声をかけた。


「あ?」


『今回のことは誰にも予想できなかった。
それはもう過ぎた事だし、仮に予想出来たとしても止めることは出来ないよ』


エリオットが足を止めた。
その表情に眉間にシワがよるのが彼自身、自分でわかる。


『話したことがあろうがあるまいが、同じ学校で過ごした時間がなくなるわけじゃないでしょう?』


花だー、と好奇心旺盛な彼女が笑う。
それだけで、自分が考えていたことはこんなものだったのかと馬鹿らしくなる。


「そうだな」


思い直したエリオットも釣られて笑った。









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