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『イヴ…?』
「ロナ!!」
何もできない速さの中、無意識に呼ばれる名前。
危ない、と本能的にロナへ手を伸ばしたオズ。
しかしどうやってもその手は届かない。
―ダァンッ!!!
吹き飛ばされるほどではないものの、強い風が部屋を襲う。
襲い掛かろうとしたリオンも主の元へ戻った。
オズに背を向けて立っていたロナの紫色の瞳がゆっくりと開かれる。
それが短い間にオズが知った彼女と異なるような雰囲気を感じた。
「…っ ロナ…」
『―とんだ茶番ね』
普段と変わりない彼女の声。
しかしその声には少しばかりの違和感がある。
いつもと変わらない容姿に緋色の長髪が風に揺れた。
『―久しぶり、ロッティ』
「! あなた…」
ロナ、と口の中で噛み締めるように名前を呼ぶロッティにロナが微笑んだ。
『出てこられたんだね。あそこから』
その言葉にはロッティだけでなく、ファング
やダグまで表情を固める。
「…何よ。もう“今の”あなたには関係ないでしょう…!?」
『バスカヴィルはその方針まで変えたの?』
あくまで冷静なロナと敵意をあらわにするロッティがその場の空気を徐々に冷たくしていった。
なんのことだかわからない彼等を放置して、過ぎる時間も遅く感じる。
「もう…もうあなたには関係ないの。終わったこと。
―リオン!!」
鋭いロッティの声にライオンのチェインが動く。
『そんなの、』
「おいロナ!」
ギリギリで避けようとした彼女の手を引いたのは、いつの間にか近くに移動していたエリオット。
そばにはリーオもオズもいた。
『なっ…』
後ろに倒れ込んで尻餅をついたロナと入れ代わりになるように、
オズが転がっていた剣を手にして相手に向かった。
『なにして』
「バカッ! お前はそこで黙っとけ!」
そう言い捨ててエリオットやリーオもすぐバスカヴィルに向かっていく。
一時行動を止めたロッティも取り直し、ロナも言葉に甘えて座り込ん
だ。
『…なーにしてんだか』
小さく呟いたロナの顔がほんの一瞬、苦しそうに歪む。
『今回はうまくいきそう?…かな』
そう言うとふっと身体の力を抜いた。
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