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□4Memory
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4memory






―とくん



さっきから胸騒ぎが止まらない。



ズキズキと頭が疼いて耳に留まるほどの声が聞こえない。



まるで私が1人、ここにいるのだと錯覚するように。









「刃を向けた時から、剣に命を託す覚悟はある。
だが勘違いするなよ!」



ロナよりも高い位置にいるエリオットが剣を握った。



「オレは死ぬために剣を抜くのではない―!」



掛け声とともに走り出したのはエリオットとファング。



『エリオット!』



何をするわけでもなく彼の名前をよんだロナは目の前にダグが立っているのに気づいた。



『…何』



「おまえは、!」



ダグが言葉を取やめたのは地べたに座るロナが蹴りを入れたから。



ギリギリで避けたものの、油断は出来ずに1歩分下がる。




『アンタ達に話すことなんて何もない』




次の攻撃が出来るように、
片膝を地に着きながらロナは縛られた状態でダグの顔を見上げた。



「まだ遅い!」



金属同士が勢いよくぶつかる音が周りから聞こえて来る。




「…やはりお
前が」





―ガンッ



「がはっ…」


そんなときに聞こえた鈍い音と痛みをこらえる声。


「ロッティさん!?」


驚いて横を見ると、ヒールでオズの胸の辺りに体重をかけるロッティの姿。


そこに加減は感じられない。



「はーい、聞こえるー? ジャック」





…ジャック?





その名前が何かのパズルのように頭に入ってくる。




そんな名前知らない。




けど、






“知ってる”。





どうして?






なんで私は―






「ロッティ上だ!!」



ダグが叫んだと同時に響いた発砲音。


倒れたロッティに駆け寄るバスカヴィルを無視して私もオズ達に合流した。



「エリオット! 裏に通路がある」



「了解!」



リーオが壁にかかったロウソクを取ったことを確認すると、
エリオットは積み立ててあった木箱を剣で大胆に崩す。



「来い!!」



ロナの横をオズが引っ張られるようにして奥へと進んだ。





「あーびっくりしたぁ」


「へ?」


歩きながらオズの縄を解くリーオがつぶやいた。



『リーオは体術も苦手だよね




すでに解いてもらったロナがあははと笑う。



「うん。まさか当たると思ってなかったから…」



逆に驚いちゃったよーと続けるリーオに先を歩くエリオットが返した。



「あーお前剣も銃もセンスねぇからなー」



そんな会話をする4人に緊張感はカケラもない。



『そいえば2人とも。
よくあの部屋がわかったね?』



その一言に前を歩いていたリーオとエリオットが振り返る。



「猫が鳴いてたんだよ」



『猫?』



「ミス・エイダ=ベザリウスのね」



エリオットの変わりに答えたのはリーオ。


その名前にオズの表情が変わった。



「それよりも、とりあえずはこのまま出口を探すぞ。
おまえらに話を聞くのはそれからだ」



『…』



「関わらなくていいって言ったのに…
なんだよ… バーカ」



ロウソクをリーオに渡しながら話すエリオットの言葉にロナは反応せず、
オズだけがボソリとつぶやく。



それにエリオットが反応した。



「うぜえ奴だな…っ
誰もてめえのために動いてねえよ。
自惚れんなこのチビ!!」



ビクビクしながらオズも負けずと
返す。



「う…うっせーな!!
てゆうかそこまで背ぇ変わんねぇだろ
アーホ!!」



「はい、ケンカしなーい」



とリーオに止められなかったらずっと続きそうなケンカ。



ケンカするほど仲がいいって、



『(まさにこのこと)』


その愉快さにロナは小さく笑った。








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