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□愛があれば!!
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夕食も食べ終わり、2人で並んでソファに座りのんびりとした時間を過ごす。



ふと耀が立ち上がり「お茶、淹れてくるある。」と台所へ向かった。
私は読んでいた雑誌を置いてひょこひょことついていく。


耀が振り返り、

「かなでも手伝ってくれるあるか、我が淹れるからかなではゆっくりしてれば良かったあるよ」
とついてくる私に言うと、私は






「え?いや、手伝わないけど、見てるだけ。」







耀は何とも言えない複雑そうな顔をした後、あきれたように「そうあるか」
といってスタスタと台所に入って行ってしまった。

私は特に気にせず後を追い、缶から茶葉を出してポットへ入れる耀の腰に抱きつく。



「拗ねたの?」

と聞けば、


「拗ねてねーある。」



と即答。




「ふーーん。」

と呟き私はカウンターに肘をついて耀の作業を観察する。




暫くして、耀はやかんを火にかけるとこちらに近づいてくる。
本当にたいして拗ねてはいないようだ。


耀は私の背後で止まり、私の頭に顎を乗せる。


「かなではちっさいあるなーーー」

同じ方向を見ているので表情は見えないが、おそらく今の耀はによによと得意げな笑みを浮かべているだろう。




「やっぱり拗ねてるでしょ」




「拗ねてねーある。」





とても仙人だとは思えない幼稚な態度に私は思わず吹き出した。




「なっ、なに笑ってるあるかー!!」


と、さらにご機嫌斜めなようだ。
目を細めてポコポコと怒る耀の表情が鮮明に脳裏に浮かんで
余計に可愛く思えてくる。





「もー嫌あるよー、かなでまで我をからかって・・・。
かなでなんて我より背ちっせーくせに!!!」



背は関係ないのでは、と思いつつも一応「はいはい。」と返事しておく。




私は暫く考えてからふ、と思いついたようにこう言った。



「女の子にとってはさ。身長差なんて萌えポイントだからね。」



すると耀はわからないと言った風に黙っているので

「女の子は背の高い彼氏に憧れるもんだよ。キスするときに屈まれるとか、キュンキュンくるね」


と説明を付け足す。








「・・・そんなもんあるか・・・。」


と耀は気の抜けた返事をして、やかんの元へと向かっていった。

声色からは何を考えているのかはわからなかったが、まあいつものことだ。
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