PandoraHearts

□逃げるが勝ちなんて嘘
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私はエリオットくんが好きです。
図書室で本を読んでいる姿もリーオくんと言い合いをしている姿も全部好きです。
でも、きっとエリオットくんは私のことを知らないと思います。
一度だけ…教材を落とした時に拾ってもらっただけです。
それをエリオットくんが覚えていると思えません。
それでも、淡い期待を抱いて毎日エリオットくんを見つけては見つめている私はストーカーもどきなのでしょうか。



そんな私は今日もエリオットくんを廊下で見かけて跡をつけています。
ストーカーもどきではなく、これはもう完全なるストーカーですね。
目が合った瞬間にバッと後ろを振り返り近くの壁を見ているフリをする。
今までも何度かエリオットくんと目が合って声をかけられそうになっても逃げ続けている私。
それでも跡をつけてしまうのは何故なのでしょうか。



今日もエリオットくんは聖騎士物語を借りる様子。
私も聖騎士物語が好きで何度かこれをきっかけに声をかけようとしたけれどなかなか難しい。
私はかなり小心者のようなのです。


リーオくんが他の書架のほうへ行くとエリオットくんがこちらを振り返りました。
逃げようとして後ろを振り返ったらリーオくんが立っていて逃げられませんでした。


「逃がさないよ、++++さん」


『へっ!?な、ななななななんで私の名前っ…!』


私、別にリーオくんに自己紹介した記憶ないですっ!


「おい、++++=****!」


『はひっ!!』


「なんでいつもオレの跡をつけまわしてる!」


『え、いや、べ、べつにそんなことは………』


あるんですけど、貴方が好きだからですなんて大胆告白が出来るほど私は勇気のある女じゃないんですぅ!
もうこういうときは逃げるが勝ちといいますものね、リーオくんの横をするりと抜けて走り出す。


後ろのほうでエリオットくんが叫んでいるのが聞こえるけど気にしない。
別にどこへ行くとも決めていないのだけれど、もういっそのことこのまま寮まで戻ってしまえばいいと思うんです!


玄関を出たところで後ろを振り返るとエリオットくんがすごい勢いで追いかけてきていたので驚き。
でもね、やっぱり逃げないといけないと思うの!



「なんで逃げんだああぁぁぁぁぁぁぁあぁあぁぁぁぁああ!!!!!!」


『なんで追いかけてくるのおおおぉぉぉおおぉぉぉぉおぉぉぉぉ!!!!!!!』


そんな叫び声をあげながら寮ではなく校外へ。
校門を抜けたところでエリオットくんに腕を掴まれて走れなくなりました。


「はぁ…はぁ、なんでお前…逃げんだよ…」


『そ、それは…』


「オレの跡つけるくせに逃げて…わけわかんねぇよ…お前…」


お互いにすごい息が切れていて会話もままならない。


「なんで、跡つけたりしたんだよ…」


『そ、それは…え、エリオットくんが…』


「オレが、ナイトレイの人間だからか?」


『へ!!?ち、ちがっ…!』


「じゃあ、なんでだ!」


そう言って見つめてくるエリオットくんの瞳があまりにも必死で嘘をいうよりも本当のことを言って後悔をしたほうがいいと思った。


『え、エリオットくんが…好き、だから…です』


「…………………、は?」


『ご、ごめんなさいほんとうにすいませんごめんなさいっ!』


逃げ出そうとするとまた腕を掴まれた。
もうこれだけでも私の心臓は押しつぶされそうなのにエリオットくんは私を殺したいの?



「お前、今なんて言った?」


『だ、だから好きって……』


あぁ、もう泣きたい。
私の学生生活終わった。あのエリオット=ナイトレイに告白しただなんて知られた日にはもう…あぁぁぁぁぁぁぁぁ…


「…オレは、お前のことを知らない」


『は、はい…』


ですよね、学年は同じでも同じクラスにはなってませんものね…
私、目立たないタイプの生徒だし…成績も中途半端だし…できるのなんてピアノぐらいだし…はぁ…


「だから、お前のことを知りたい」


『はい…って、え?』


え?なんて言いました?
知りたい…って言いましたか、この人。


「だから……」


『は、はい……』


「友達から、でもいいか?」


そう言ってくるエリオットくんがちょっと上目遣いで完全に心射抜かれました。


『は、はいっ!』


逃げるが勝ちなんて嘘。
逃げて負けて告白してちょっとだけ上手くいった私が保証してあげますわ。
女は度胸!当たって砕けろですわ!




逃げるが勝ちなんて嘘
(私とエリオットくんの関係はお友達)(でも、そこから愛が生まれればいいと思うの)





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大胆告白は女の特権だと思うんですよね
あと、エリオットの上目遣いは完全に末っ子の特権乱用ですね←

 

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