PandoraHearts
□止まった貴方と止まれない私
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(死ネタにつき、注意)
〜♪〜♪〜♪
どこからか聞こえる音楽。
それは私のよく知った音楽だった。
"レイシー"
私の愛した彼がよく弾いていた旋律。
よく演奏室で聞かせてもらった慣れた音楽。
けれど、現実を見れば音楽などなくてただただ街の中を人々が行きかうだけ。
なんてつまらない世界なんだろう。
彼の時が止まってからもう5年も経つ。
私は無事にラトウィッジ校を卒業して21歳になっていた。もうおばさんだね。
私はそんな騒がしい街中を歩き、もう慣れた裏道に入る。
ここが彼に会うための、一番の近道。
何度か野良猫とすれ違った後、広い通りに出れば目の前には墓地。
彼の眠る墓地。
私は、先程花屋で買った花束を抱え一つの墓石の前に駆け寄る。
"エリオット=ナイトレイ"
彼の時はここで止まったまま。
あの日、あの場所で、あの子と出会わなければ、私の愛した…最愛の彼は"まだ"生きていたかもしれない。
それでも、もしかしたらもういないのかもしれない。
フィアナの家で、リーオと出会っていなくても、他の従者をエリオットがもっていたとしても…もしかしたら、いなかったのかもしれない。
過去は変えられない、そんなこと分かっている。
分かっているはずなのにチェインの誘惑に負ける人達は本当におばかさんなんだと思うの。
『もう、5年だって…エリオット。お父様に怒られちゃった、まだいくのか…って。』
それでも、私だって何度も何度もチェインの誘惑に負けそうになった。
もしも…過去を変えて、エリオットが還ってくるというのなら受け入れていたのかもしれない。
でも、もしかしたらいないかもしれないじゃない?
それに、そんなことをして取り戻したエリオットが喜ぶはずがない。たくさんの人を犠牲に自分が戻ったなど。
『…私ね、結婚するんですって。』
5回目の彼の墓石の前は座り込むだけで辛かった。
『でも、断った』
別に彼に縛られているわけじゃないの。
ただ、彼のことが今でも好きだから、愛しているから…
『相手の人に悪いかなって』
だから、婚約はしないだけ。
『何度も色んな男性に誘われたけれど、どれもつまらないものばかりだった』
一緒にいても楽しくない、幸せじゃない、つまらない、気持ち悪い、私に釣りあわない。
そんな男ばかりだった。
『やっぱり、私に釣りあうのはエリオットだけだよ……!』
16のまま止まった貴方と21になっても止まれない私。
この差はいつになったら埋められるのでしょうか?
止まった貴方と止まれない私
(笑ったほうがお前はいい)(泣きたいなら泣け、って制服で涙拭くんじゃねぇよ!)(何怒ってんだよ、お前は…)(楽しきゃいいんじゃねぇのか?)
(私が笑ったり泣いたり怒ったり出来たのは全部貴方のおかげなんだ)(1度だけでいい、1度だけでいいの。)
(お願いだから、神様…私にエリオットをもう一度抱き締めさせて下さい。)
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死ねたとかぽんぽん思いつくのになぁ…私、性格わるっ(((( ;°Д°))))