PandoraHearts

□段階吹っ飛ばした結果
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『エリオット…!』


「なんだ!?」


『少し用があるの、ここでいいんだけど…話聞いてもらえないかな』


「あぁ…いいけど…」


それはある日の昼下がりの出来事。
いつもと同じ昼休み、演奏室に隣接する控え室のソファでエリオットはうたた寝をしていた。
リーオもまたいつも通りに本を読んでいた。しかし、突然の来客。それはエリオットの幼馴染、++++=****であった。


そして、現在に至る。
何やら真剣な表情の++++を見て、リーオは++++を控え室に入れ、またエリオットもソファから上体を起こした。


「それで、なんだ?」


『あのね…これは冗談じゃないの、本気よ?』


「だから、用件を早く言え」


『…私と子供作ってください』


「…………………………………………………、は?」


突然の発言…"私と"子供を作ってください。
エリオットの子供が欲しいというのならまだしも"私と"というのはいったいどういうことだろうか。
それ以前にエリオットは頭の中で混乱していた。


(子供?子供って"あの"子供か?あの…あれか…あの…男と女がふにゃらら〜で…って何考えてんだっ!オレはっ!)


一人顔を赤くしたり、眉間に皺を寄せたりするエリオットをリーオは遠くから見て笑っていた。


(完全に混乱しちゃってるじゃないか、エリオットってば)


「そ、それはどういう…ことだ」


先に口を開いたのはエリオットだった。
下を俯いている++++は拳を強く握り締めまたとんでもない発言をした。


『エリオットと私の子供が欲しいの!』


「…〜っ//だから!それがどういう意味だって言ってるんだ!」


『どういう意味って…そういう意味だよっ!』


ちゃんとした理由を答えようとしない++++に対し、そういう意味では何がなんだか分からない!、と主張するエリオット。
いったいどうすればいいというのだ。


(++++もちゃんと説明しないからなぁ〜…)


リーオは廊下側のソファに座り二人の口論の様子を見守るだけだった。


(きっと二人の子供はこういう風景見るんだろうな…夫婦喧嘩っていうやつ?)


夫婦になった二人の姿を想像するとリーオは思わず笑ってしまった。


「なに笑ってんだぁ!リーオ!!!///」


「あーごめんごめん、つい面白くてね。ほら、++++もちゃんと説明しないと」


そうリーオが言い、++++を促すと++++はエリオットにもう一度座るように言い、自分もその目の前に正座をした。


『もう一度いいます、私と子供作ってください』


「…〜っ、だから!色々段階ってもんがなぁ!!///」


『段階なんていいの!だから…』


「だから、++++説明しないと…」


『あっ…えと…その、昨日クラスの女の子にその…いじめられたわけではなく…その暴言でもなく…ちょっと言われたことがありまして…』


「?」


エリオットには何がなんだかさっぱりだった。
どうやらリーオは事情を把握しているようだったが。


『クラスの女の子に…エリオット様と本当に幼馴染というなら子供でもなんでも作ってらっしゃったら…って言われまして…』


「それで、++++も素直じゃないタイプだからじゃあ作ってきてやるわ!、って言っちゃったみたいでさ」


『それで…その…ごめんなさい…』


「あー…そういうことな…」


すべてを聞いて納得のいったエリオットは頭を抱えた。
確かに隣のクラスには、++++が本当にオレの幼馴染なのかと疑いをかけてくる奴がいた。
オレも何度か聞かれたことがある。本当に幼馴染じゃなければなんだというんだ。ほぼ毎日といっていいほど一緒にいるのに。


『だから、私と子供作ってください』


「いや、そこでなんでそういう結論になるんだ」


『リーオが作っちゃえばいいじゃないって…』


「リーオ…!!!!!って、あいついねぇじゃねぇか!」


エリオットがキレることを予想してリーオはすでに本を持ち控え室から退室した後だった。


「はぁ…あのなぁ、そう簡単にいうけど分かってんのか?その…そういうことしなくちゃいけないって」


自分で言いながらも恥ずかしいのかエリオットは少しだけ目線を++++からずらしていた。


『分かってる…けど、そんな大変?』


「………」


ここで変なことを言ってしまえばどうなるか分からない。
簡単、と言ってしまえば本当に作らざるおえなくなる可能性もある。
大変、と言ってしまえば経験があるのかと言われる可能性もある。


「ふ、ふつー…?」


どう返答を返したらいいのかエリオット自身にも分からず結局首を傾げながら普通と言ってしまった。


『普通…って?』


「えっと………その、痛い…ってのはあるんじゃないか…?」


そこまで言ってエリオットは我に返った。


(待て待て待て待て、オレは女に向かって何言ってんだ!なんでそ、そういうことの…その…あー!教えなくちゃいけねぇんだよ!)


エリオットもそういう年頃であるから大体のことは分かるが、決して経験をしたことがあるというわけではない。
ましてや女に…しかも幼馴染に教えるなど…


(オレこそ恥を知れ…っ!)


今にでもここから逃げ出したいほどの羞恥心がエリオットを襲った。


『痛い…のか…』


++++はそんなエリオットなどお構いなしにまだ聞き出そうとしているらしい。


『どこまでやったら子供って出来るの?』


「えっ…!!?あ、いや…」


(そんなこといえるか!知ってて聞いてきてるのか…?いや、こいつはそんな上手いこと出来る奴じゃない。)


エリオットは過去の++++を思い出す。
嘘をつくのが下手で、バカ正直で、天然で、バカで、とにかくバカで、阿呆で、とにかくバカで、嘘をつけない奴なんだ。
無駄にバカバカと言ったわけではない、本当にバカ正直でバカなんだ。


(ましてやオレには嘘なんてついたことがないんだ。こいつは不器用なんだ。)


としたら、本当に知らない?
エリオットの中でそれは一つの疑問になった。
一応こいつもオレと同じ16歳のはず。16ともなれば女どいえどそう、そういうことに…いや、++++の場合は…ないのか?


「…お前、知ってて聞いてきてるのか?」


『?、なにを?』


「そ、その…子供の作り方…?」


『し、知らないよっ!だから聞いてるのに…』


…これは嘘ついてないぞ。
嘘ついたときはこいつは分かりやすく目を背けるし、手を後ろで組む癖がある。


「…お前には子供作れねぇよ」


『なっ!なんでぇ!』


「いや、別にお前がどうとかじゃなくてだな…その常識的な範囲内で…?」


『ひどい…エリオット、いくら私が幼馴染だからって女じゃないって遠まわしにいうなんて!』


「ちがっ!そういうこと言ってんじゃねぇだろ!?その、だな…簡単に作れねぇんだよ…」


エリオットに向かって楽譜やら本を投げつけていた++++がその手を止めエリオットを見上げ首を傾げた。


『難しいの…?』


「時間が…かかるっていうか…とにかく!今のオレたちには無理なんだっ!///」


それだけ言うとエリオットは楽譜などを詰めカバンを背負い控え室から出て行ってしまった。
暫くするとエリオットが戻ってきた。


「いいか!その女たちに言っとけ!++++とオレは何があっても幼馴染だって!
次、何かあったら一人で決める前にオレを頼れ!分かったな!
あと、子供作るのには段階ってもんが必要だからな!じゃあな!」


若干赤く染めた頬を隠すように勢いよく身を翻し再び走っていってしまった。


『…子供の作り方、調べようかな』






段階吹っ飛ばした結果
(あの時は子供なんて作れなかったけれど)(その10年後の今なら作れると思うんだ)
(++++?どうした?)(ううん、ちょっと昔のこと思い出してね)(そっか)(今の私たちは幸せです)



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実に唐突でしたね。
パンドラのノベル読んでアリスがオズに唐突に言っていたので、エリオットならどうなるのかな…と。
こんなんなっちゃいましたけど…最後とか未来になっちゃったし…まぁ、いいか!(良くない)

 

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