PandoraHearts

□アレが出た時には素直に避難しましょう
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夜、自室にいたときのことだ。
一緒に部屋を使う女子が休暇だということで実家へ帰っているときのことだった。
そいつは突然私のベッドの下から出てきたのだった…


『ギャあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!』



その日、私の断末魔を聞き逃した女子生徒はいなかったとか。






























風呂を済ましてリーオが本に熱中しているので自分でココアを入れていると窓をノックする音がした。
おいおい、ここ一階じゃねぇんだぞ?そろりとカーテンを開けるとそこにはオレの幼馴染である++++が窓に貼り付いていた。


「!!?」


あまりにも衝撃が強すぎて手にしていたココアを落としそうになった。
とりあえず急いでココアをテーブルに置いて窓を開けてやると飛び込んでくるなり助けてっ!と言ってきた。
主語を吹き飛ばすなって何回言えばこいつは分かるんだ…全く。


「何があったんだよ」


抱きついてきたのでそのままソファに放り込む。んぎゃあっ!!と変な声がしたがいつものことなのでスルーしておく。
自分用のココアだったが++++に手渡しておく。茶も出ないのか!この部屋は!、なんていわれても困るしな。


『私の部屋に…私の部屋に…』


「++++の部屋にどうしたんだよ」


『ゴキブリが出たのっ!』


「…いや、もう一人相部屋の奴いるだろ」


『今日から休暇だから夕方に帰っちゃった…』


「あー…」


そういや、今日から休暇か…。
長期休暇というわけではないからオレは寮に残るつもりだったけれど帰る奴もいるのか。


「それでなんで窓に貼り付いてたんだよ」


『え…だって、正面から入ろうとしたら男子いっぱいいたんだもん』


そりゃいるだろうなぁ…男子寮ですからねぇ…。
むしろいないほうが怖いだろ。休暇だからって皆帰っちまうのかよ、怖いわっ!


「窓にどうくっついてたんだよ」


『根性で』


「…そこだけオレはお前を尊敬するよ」


もう呆れる程に飛んだ発言が出てくるのには慣れている。
幼い時からちょくちょく遊びに来て花瓶壊すわ、泣くわ、走り回るわ、こっちが迷惑だった。
飛んだ発言も今に始まったことではなく、ずっと昔からいつも発言は飛んでいた。
アーネストたちもよく呆れた顔をしていたのはこいつのせいだ。


『とりあえず今日は部屋に戻れないの!』


「戻れよ!」


『無理!相部屋の子は虫とか平気なんだけど私はダメだもん!エリオットだって知ってるでしょう?』


確かに++++は虫が大の苦手だ。
庭にいる虫を見た瞬間に後ろにいるオレに追突してきたあの幼い日の思い出はわすれねぇぞ。
あんな痛い思いしたのはあれが最初で最後だ。石に頭ぶつけて血出てどんだけ姉に叱られたか。オレのせいじゃねぇのに。


『だから、今日はここに泊めて!』


「バカ!女子寮が男子禁制なのと同じでこっちだって女子禁制なんだよ!」


『知ってるよ!でも…私一人ぐらい匿ってもらえない?…休暇中だけでいいの』


「どうに部屋から出るつもりだよ」


『えーと…わかんない…?』


無計画女は何故か語尾を疑問系にする。
これはオレが++++を見てて学んだことの一つである。
多分、今のオレの顔はかなり引き攣ってると思う。今にでもキレそうだ…ったく!


「明日!朝早くにここ出ろよ!それなら今日は泊めてやる!」


『わーい!ありがとエリオット!やっぱり持つべきものは幼馴染かな!!?』


「持つべきものは友だと思うよ、++++ー」


エリオットなんて持ってもいいものではないよー、なんて言いながら隣の部屋から出てきたリーオ。
本読みきったのか、と聞けばまだ三冊あると言われた。
いや、今日七冊借りてきたのにもう三冊かよ…速読しすぎだろ…!?






アレが出た時には素直に避難しましょう
(例えそれが異性の部屋だとしても。)
(お前!朝早くに出ろって言っただろ!)(だって起きられなかったんだもーん)(遅くまでリーオと本読んでるからだろうがっ!)
(++++が男子寮に泊まったことは翌日にはあっさりとバレてしまい)(結局エリオットと++++はまた一段とラトウィッジ校の有名人になったのでした)






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アレ=ゴキブリ
私の部屋の自慢。割と汚いのにゴキブリが出たことない。
ちょっとだけ誇ってるバカな管理人でした、ちゃんちゃんっとな。


→→近況
春休みだからって調子にのって絵とPCとゲームばかりやってたら宿題が危機。
春休み明けのテストの成績はガクンッと落ちるでしょう、まる20120330


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