小説集

□ナモナキセカイ〜色の世界〜
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赤、白、黒、黄、紫、青・・・・
コレはなに?
見たことも無い色が広がる。
彼女の周りから、彼女の光から、声から。
カラフルな色が飛び交う。
上に下に横に僕に。
僕の周りに、ボクの体に、ぼくの心に。
絵の具をぶちまけたような。
絵筆を走らせたような。
僕の周りに広がる。体に、心に。
存在を表すように、存在を焼き付けるように。
「こ、れは・・・・」
惚けたような声が僕からこぼれた。
彼女が動けばそこから色が弾き飛ぶ。
彼女が止まるとそこからじんわりと広がる。
彼女が触れるとそこに色が染み込む。
僕に色が流れ込む。
「さぁ染めよう。君の色で君を、周りを、セカイを。色をつけよう君に、君の心に。世界に色を、セカイにいろを付けよう。君という人の君の色。君の手で君に色をつけよう」
そう言って僕の手に色が移る。
手に、体に、心に。
色が光となり目に染み込む。
色が音となり喉に染み込む。
色が降り注ぐ。僕にボクの中にぼくを包むように。
体の奥底から広がっていく。
赤、白、黒、黄、紫、青・・・・
様々な色が、僕の、ボクのセカイに染み込む。
弾き飛び、じんわりと、引き寄せられるように染み込む。
僕の手に色が染み出る。ボクの影に色が染み渡る。
僕が動くと色が弾き飛ぶ。ボクが止まると色がじんわり広がる。ぼくが触れると色がしみこむ。
僕がボクに。ボクがぼくに色をつける。
真っ白なセカイに鮮やかな色が囲むように広がる。
僕を中心として周りに。
上に下に横に。
目を奪われるようなとりどりの色、いろ。
「綺麗だ・・・僕のセカイが・・・鮮やかだ・・・ボクの世界が・・・広がる・・・染み込む・・・フハハッ・・・ボクのイロ・・・僕の色・・・」
手を見る。鮮やかな色が広がっている。
周りを見る。綺麗に塗られた世界がある。
僕を見る。色とりどりの色で包まれている。
あぁ・・・これが色。
ボクのイロ。コレが僕だけの色。
「綺麗だね。君の色は。鮮やかな色・・・フフこれであなたはあなたになれたかな?」
そっと微笑む彼女の顔はすごく綺麗だった。
うん、ボクは僕になれたかな・・・・。
色、それは僕に新しい世界をくれた。
何も無かったボクのセカイに世界をくれた。
新しい世界それは色。
ボクが僕になる瞬間。
セカイが世界になる瞬間。
色、それは僕にとって新しい世界への第一歩。

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