小説集

□ナモナキセカイ
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ココは酷く暗くて冷たいセカイ
ココは音なき静かなセカイ
ナニモナイ、ナ、ニモ、ナイ
あるのは自分ただ一人。僕だけのセカイ。僕だけの空間。僕だけ、ボクだけ、ボクダケ。
狂ってしまったのだろうか、壊れてしまったのか。心はどこか遠く、深いところにあるのだろうか。
自分のことなのに自分が分からない。
あぁ…そうだ。僕は僕でもボクジャナイ。
誰かが作って僕がかってに僕にした。だからかな、口からこぼれる言葉はいつもひとつ一つ
「誰か僕を見つけてよ。」
空虚な闇をみつめまたポツリと呟く。返事はない。
だってここには僕しか居ないから。無駄な行為、無駄な言葉。
心で失笑してみる。分かってることなのに何度も何度も繰り返す無駄な行動。無駄な思考。
「誰か僕を見つけて。僕という存在を作ってよ。」
力無く呟いた。小さくうなだれ肩を落とす。
いつものことだ。何度も叫んで何度も繰り返した。けれど答えは変わらない。
-----ドウセコタエハカエッテコナイ-----
ソレが答え。ソレが全て。ほらまた心が消えていく、どうでもよくなる。
今日と言う日がまた終わる。今日も一人。サヨウナ…
「暗いねここは……声の主はキミ?」
……え?
初めて自分じゃない音を聞いた。
なにが起きたかわからない。僕のセカイになにかがいる。僕以外のなにかが居る。これは何?何、なに、ナニ。
「ねぇキミでしょ?私を呼んだのは。ここは酷く暗いね。……それでキミは何がしたい?何を望んでる?その声で伝えて。私が叶えるキミは何を求めてる?」
その時、僕じゃない声からイロというなの世界が広がった。オトというなの世界が広がった。ボクという存在が出来た。

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