Cross Genesis

□第1話『邂逅』
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雨が降りしきる中、一台の車が都心に向かって足を急がせていた。雨風で飛行機の着陸が遅れたことが、運転手の焦りの元になっているが、後部座席にいる2人の男性にとっては何の問題もないことだ。

「そちらの司令官は、時間に厳しいのか?」
「多少は。でも、話せば分かる人なので、今日遅れることは承知の上かと」
「……副司令官、思っていたより若いのだな」
「意外でした?」
「まぁな。意外と言えば、日本人が俺を雇った事だな」
「え?」

若い副司令官と言われた青年は、腕の傷痕を眺めながら話す外人の言葉にハッと目を向ける。そんな青年の様子を見ることなく、外人は言葉を続けた。

「日本人のハーフの女の部隊で一度戦った。そいつが言ったんだ。日本人は、一度外国を拒んだ。それほど、外部からの要素で起こる変化が不得意な民族なんだってな」
「……なかなか的を得てますね。その隊長さん」
「生粋の日本人もそう思うか?」
「ええ。日本人の中でも、変化を求める人間は三つに分けられます。変化を求むだけの人間、自分で変化しようとする人間、外部の要因を取り込んで変化しようとする人間。求むだけの人間は一番の多数派。求むだけで何もしない。自分で変化しようとする人間は、日本人の力で変化できると思う人間。ウチの総司令はこのタイプです。とりわけまれなタイプの」
「?」
「ウチの総司令は、変化するためなら何でもします。傭兵であるあなたに、新人の教官を依頼するほどに。そう思いませんか? アレン・フォルク」
「……俺は依頼をこなす。それだけだ」
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