短編
□もしこの声が
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もしこの声が君に届いたならば
君は私をどう思うだろう
ただすれ違っただけだった
なのにそれだけで恋に落ちた
どこが好きなのか分からない
そもそもこれが「好き」という感情なのかさえ分からない
名前も知らない
クラスも知らない
近くで見たのはすれ違ったあの時だけ
それからだ
いつも君を探してしまうのは
どうすればいいのだろう
君に会えるのは学校だけ
それもたまに階段ですれ違うだけ
あ、そういえばすれ違ってばっかだなぁ
嬉しいんだけどちょっと寂しい
ちゃんと向き合って話したい
私を見てほしい
………やっぱり「好き」なのかもしれない
この声が君に届いたならと待たないで
届けてみようとおもう
→あとがき