短編

□いつかまた会えるから
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「ごめんね、ごめんね、でも仕方なかったの・・・こんな母親でごめんね。」

9月25日
ある教会の前に赤子が置かれていた
赤子は毛布にくるまれていてスヤスヤと眠っていて
毛布の中には手紙にはただ『ヒカル』とだけ書いてあった

教会の階段の前に置かれていたヒカルはミサに来ていたある人に拾われた
それが彩だった





ヒカルを見つけたのは偶然だった
久しぶりの休日をミサに費やすため教会に向かったところ階段にくるまれた様な大きな物体がある
なんだろうと重い近づいてみるとそれは赤ちゃんであった
しかも生後1週間未満のような子
その寝顔は天使のようで特に金色に輝く前髪がとても可愛いらしかった

「可哀想に、こんなにも可愛いのに捨てられてしまったなんて・・・・・。」

私は児童養護施設〈慈愛養護施設〉で働いていたのでそこでこの子を育てようと決意した。



この子には戸籍が無かった
親が誰なのかさえ分からない
唯一分かっていたのは『ヒカル』という名前

私がヒカルを養子にとる選択肢もあった
しかしまた私は経済的にヒカルを育てていくことが出来ない
この施設で働いている他にもアルバイトをしている状況なので許可がおりなかった
なのでこれからヒカルは慈愛養護施設で暮らしていくことになった




ヒカルはすくすくと健康に育ち可愛らしいお転婆娘へと育っていった
動くたびに揺れる金色の前髪
前髪だけ色素が薄く少し透けていて夕日に当たるととても美しい輝きを放つ
まだ舌っ足らずで「しゃい!!」と呼ぶ明るい声
私の名前は『あや』と言うが漢字で書くと『彩』になる
彩は『サイ』とも読めるのでニックネームで他の子達にもサイと呼ばれている
「しゃい!だっこ!」といって後ろをつけてきたり
「しゃーいーよんでー」と絵本を持ってきたり
もう2歳なのに甘えん坊さんのままである
それでも意外と面倒見がある子でついつい私も甘やかして実の子のように育てた
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