おはなし
□夏
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困惑する乾を置いて、海堂は駆け出していった。
何が起こったか分からないまま
深呼吸をして、まず一番にするべきことを考えた。
「…ッ!!待って海堂!!!!」
なにかとてつもない勘違いをしているな、海堂は。
海堂の背中を必死で追いかけながら乾は考えていた。
あの流れで行くと、
海堂は……
「ッ!捕まえた。」
「はなせッ…」
掴んだ腕を必死に引き剥がそうとする海堂を、乾はきつく抱きしめた。
「人の話は最後までキキナサイ。」
「俺が好きなのは、―――」
夏が始まる。
夏が終わる。
俺たちの夏はまだ終わらない。
真っ白だった乾の短冊には
『ずっと2人で過ごせますように』
そうかかれていた。
2006/06/16夜桜拝