Story

□3.「お弁当」
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3.お弁当




桜のことは椎奈には内緒。
椎奈の知らないことを知っているということが今までなかったからちょっと新鮮。



ー4時間目終了5分前。


授業がキリのいいところまで行ったので、チャイムが鳴るまで静かに自由時間となった。


(教科書とノートを仕舞って、お弁当を…)


お昼休みのために準備をしていると、隣から手を引っ張られた。


『…涼太くん?』


「……。」


『なんで…手を引っ張って…』


「…栞奈っちってオレと友達ッスよね?」


『うん。そうだけど…』


「……。」



あれ…なんか涼太くん機嫌悪い?


『涼太…くん?』


「…ひどいッス。」


『へ…?』


「ひどいじゃないッスか!いっつもいっつもチャイムが鳴ると同時に教室出ていっちゃって。友達ッスよね?なら、一緒にお弁当食べたいとか思ってくれないんスか!?」


わぁ…涼太くんが主人に見放された犬に見える…


「今日は一緒食べてくれるって言うまで諦めないッスよ!」


『…別にいいよ?一緒に食べよう?』


虚を衝かれたのか、涼太くんは目を見開いた。


「…え?いいんスか?」


『うん。別に1人で食べることにこだわってないし。』


「やったッス!栞奈っちとお昼ッス!」


『えっと…お弁当食べる場所なんだけど…私のお気に入りの場所に行っていい?』


「もちろんいいッスよ!」



涼太くんが私とお弁当を食べることになるだけでこんなにも喜んでくれるとは…。


「初めてッス!」なんて言って笑顔になっているだけで周りの女の子、涼太くんをガン見してるよ。



キーンコーンカ-ンコーン


チャイムが鳴ったので、あいさつをし、涼太くんを連れて桜のところに向かった。






涼太くん…なんて言うかな?





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