薄桜鬼*ひと恋めぐり
□決心
2ページ/2ページ
……避けられてる…?
私……何かしたかな……
ドクンドクンと心臓を鳴らす音は確実に動きを早めて大きくなる。
うまく言葉が出なくて喉の奥が詰まる。
目頭がカァーッと熱くなり、気を緩めればずっと溜め込んでいたものが一気に溢れ出てしまいそうで…、私はそれを必死にこらえた。
するとポンッと肩に原田さんの手が乗った。
『あいつもあいつなりに色々思うとこがあるんだ…気にしねぇでやってくれねぇか?』
少し困ったような笑顔を見せながら原田さんはそう言った。
…気にしないでって言われても、気になっちゃうよ…だっていきなりなんだもん…永倉さん、何かあったのかな…、私…どうしたらいいのかな…
『新八、あぁ見えて不器用だからよ』
『……はい…』
始業のベルが鳴ってからも永倉さんは戻ってこなかった。
あとから、永倉さんはそのまま年末の挨拶周りに行ったと聞いた。
その日から、永倉さんが笑顔で話しかけてくることも乱暴に頭を撫でてくることもなくなった。
毎晩、永倉さんの腕の中に居たあの時間を思い出す。永倉さんの中に私に対する感情はなかったけど、私は好きな人と一緒に居れて幸せだった…。
その後、永倉さんは今までと変わらない態度で、私はそんな永倉さんが不思議で…
『……っ…ぅっ、ひっ…』
でも、完全に避けられてしまうことがこんなにも辛いなんて…
涙が止まらない。次々と溢れ出す。
あぁ、やっぱり…永倉さんの事は諦めなきゃいけないんだろうな…
うん……忘れよう…
いい経験したって…そう思って…
…完全に彼を忘れるには時間はかかるかもしれないけど…
次、また誰かに恋をしたら、今度は…幸せになれるように―――。