薄桜鬼*ひと恋めぐり
□異動、もうひとつの想い
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『はぁぁぁぁぁ…』
街の賑やかな雰囲気とは裏腹に私の気分はなかなか上がる気配がない。
赤と緑のクリスマスカラーに包まれた街をお千ちゃんと二人で歩いていた。
『それにしても急な辞令ね…大丈夫?』
お千ちゃんに、土方さんから伝えられた異動の件を伝えた。
『仕方ないよね…、でも頑張るしかないもんっ』
私たちは最近新しくオープンしたとゆうパスタ専門店で夕食を取ることにした。
『永倉さんとは…、社員旅行後も何ら変わらないみたいだけど、それってどうなの?』
『え?……ぅん…、何か自分でもよくわからなくて…』
苦笑いを浮かべる。
『だって、永倉さん、私の気持ちには応えられないって…なのに、今までと変わらないから私もどうしたらいいか…』
きっと、態度が変わらないのは永倉さんの優しさなんだろうけど…
フラれた方としてはなかなか理解しがたい。
『永倉さんも、どうしたらいいのかわかんなかったりして』
小さな口にパスタを頬張りながらお千ちゃんが呟いた。
『…そんな事……だって永倉さんはまだ彼女の事が忘れられないって…』
手にしていたフォークを静かに置いた。
『忘れられないって言っても実際ヨリは戻してないんだし…、永倉さんてあぁ見えて結構自分からは積極的にいかないタイプなのかも?だからまみちゃんがもう一度告白してくるの待ってるとか、ね?』
『そうかなぁ……』
お千ちゃんには話してないけど、永倉さんと私は一度だけ体の関係を持っている。…そこに愛情はなかったけど。
そんな事があっても、今までと変わらない態度なのは、やっぱり私に対して何の感情もないわけで…。
『何、マイナス思考になってんのっ!!もっと自信持ちなよ!!』
『お千ちゃん…』
『暗くならないのっ!!さぁ、今夜はカラオケよっ』