薄桜鬼*ひと恋めぐり

□社員旅行
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――旅行当日――

大型バスに揺られ、奈良へと向かった。


車内では出発と同時に宴会が行われ、宿泊するホテルについた頃には永倉さんはすでに酔って眠ってしまっていた。


『永倉さ〜ん、ホテルに着きましたよ〜起きてくださ〜い』


腕を掴んで揺すってみるものの、一向に起きる気配がなく困っていると、大きな拳が気持ち良さそうに眠っている永倉さんの頭にガツンと音を立て落ちてきた。


『な、永倉さん大丈夫ですかっ!?原田さん何を…?』


大きな拳の主は原田さんだった。


『こら、新八!!起きろっ、ついたぞ!!まみを案内してやるんだろ?』


原田さんが声を張り上げると永倉さんの瞼が一瞬にして開いた。


『…ってぇ…左之は力が強すぎるんだよ、…ったく』


『こうでもしねぇと起きねぇだろーが!!ほら、まみも待ってんだ、早くしろよな』


すると永倉さんが私に気づき照れくさそうな笑みを浮かべた。


『んじゃ、まみちゃん行くかっ』


『…はいっ!!』


バスを降りる時、原田さんがそっと耳元に『頑張れよ』とささやいた。


振り返ると、優しい笑顔で送り出してくれる原田さんが居た。
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