薄桜鬼*ひと恋めぐり

□就業後デートとその理由2
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彼女の姿が見えなくなった永倉さんは、ふぅー…と小さく息を吐いた。


そして…


『悪ぃな、彼女と間違えられたりなんかしてよ…、あいつ思った事そのまま口にする奴でさ』


『いえ…大丈夫です…』


そう言うと永倉さんは、またUFOキャッチャーへと視線を向けた。


『すぐ取ってやっからな』


『………………』


そして言葉通り、永倉さんは私が欲しがったくまのぬいぐるみを取ってくれたのだった。


『よっしゃー!!やっと取れたぜぇ…ほらよ、プレゼントだ』


ぽんっと手のひらに置かれたくまのぬいぐるみ…


『…ありがとう…ございます…』


嬉しいはずなのに…
何だか上手く笑えない。


『…ん?もしかして…こっちの黄色い服きたくまのが良かったか?』


ガラスケースを指差す永倉さん。


『あ…いや、この子が良かったんですっ…大事にしますねっ』


せっかく一緒に居るんだし…笑わなきゃ…!!


『そんなに喜んでくれるんなら取り甲斐もあるっつーもんだな。…さっきの、あいつなんか“私はぬいぐるみなんかいらない”とか言ってよ…どっちかっていえば高いもんばっか欲しがってよ……って、こんな話し聞いても楽しくねぇよな』


そう言いながらも永倉さんはきっとそんな彼女との思い出を思い出しているに違いない。


彼女とは別れたけど、まだ彼女への気持ちは変わらず残ってるんだろうな…。


胸の奥がチクリと痛んだ。


一見笑ってるように見える永倉さんだけど、その笑顔がとても寂しそうで…


私は……
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