薄桜鬼*ひと恋めぐり

□就業後デートとその理由
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芹沢商事まではタクシーで10分くらいの距離だ。


二人でタクシーに乗り込む。


私は疑問に思っていたことを永倉さんに聞いてみた。


『あのぉ…、どうして芹沢さんとこに行くのは永倉さんなんですか?』


『芹沢さんとは昔からの知り合いなんだ…俺の事可愛がって呑みに連れてってくれたりって悪い人じゃねぇんだがよ…、ちぃとばかり酒癖が悪くてよ』


苦笑いを浮かべる永倉さんを見てたら、芹沢さんと呑みに行くのはもの凄く大変なんだと理解できた。


『朝までなんて当たり前だしよ、さすがの俺もそこまでは付き合いきれねぇんだよな〜』


『そうだったんですね…、でも永倉さんが来ると芹沢さんもきっと嬉しいんでしょうねっ。だからお酒に誘うんじゃないでしょうか』


永倉さんがビックリしたように目を丸くした。


『私…何か変なこと言いました?』


恐る恐る尋ねると、永倉さんの大きな手が近づいてきてくしゃっと優しく頭を撫でた。


『そんな考え方もあるんだなーって、芹沢さん…確かに俺が行くと嬉しそうな顔するんだよな…、毎回は無理でもたまに付き合うのくらい悪くねぇよな』


永倉さんが笑う。


その太陽のように暖かい笑顔にいつも私の心はほんわか癒される。


いつでも見ていたい。
いつも傍にいたい。
彼への想いは膨らむばかり。
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