薄桜鬼*ひと恋めぐり

□淡い期待と厳しい現実
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『まぁまぁ、今だから笑って話せるんじゃねーか』


大きな体で身振り手振りを交えて呑んで話す永倉さんの、胡座をかいてる膝が時々私の膝にコツンと当たる。


たったそれだけなのに…ものすごく嬉しくて…


『お、まみちゃん呑んでるか?』


『は、はいっ、呑んでますよ!!』


『残業頑張ったもんな♪じゃんじゃん呑めよ』


ポンッと、ごくごく自然に私の頭に乗せられる永倉さんの手。


……永倉さん…?
私のこと、どう思ってますか?


豪快に笑うその横顔を見ながら想いが膨らむ。


その時、ピロピロピロと電子音が鳴りだした。


『…?あの…永倉さん、携帯鳴ってませんか?』


その音は永倉さんのズボンのポケットから聞こえてきた。


『ん?あぁ、本当だ…』


携帯を取り出し画面を見た永倉さんは、一瞬顔を強ばらせた。


『……どうかしました?』


『…ぁ…いや、……悪ぃ、俺…急用が入っちまった…先に帰るわ』


そう言うとお財布から自分の分だとお金を原田さんに渡して、永倉さんはスッと立ち上がった。


『悪ぃな、皆…じゃまた明日なっ!!…あんまり呑みすぎんなよ?』


そう言って…またポンッと私の頭に手を乗せた。


…/////
期待…しちゃいますよ…そんな風にされたら…


お店をでて行く永倉さんの後ろ姿を見送りながら触れられた頭にそっと手をやると、平助くんが小さく呟いた。
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