薄桜鬼*ひと恋めぐり

□ドキドキの相手
2ページ/4ページ

 
 
『おい、新八も行くだろ?』
 
 
原田さんが私の後ろの方に視線を動かしそう叫んだ。
 
 
――瞬間…
私の心臓がものすごい音を立てて鼓動を早める。
 
 
『当たり前だろ〜。平助一人で女の子二人も面倒見れるわけねぇしな♪保護者として付き合ってやるよ』
 
 
その言葉と同時に、私の頭にポンッと手が乗せられた。
 
 
彼は…永倉新八さん。
原田さんとは同期で、平助くんとは家がご近所さんだとかで昔から3人で遊びに行ったりしてるそうだ。
栗色の短い髪と澄んだ空色の瞳、真っ白い歯をニカッと見せて笑う姿に…
胸がきゅうっと締め付けられる。
 
 
そう…私は彼に…永倉さんに恋をしている。
 
 
そしていつものように永倉さんのその大きな手がぐしゃぐしゃと私の髪の毛を掻き乱す。
 
 
『も、もぅっ///永倉さんってば…髪の毛がぐしゃぐしゃになるじゃないですかーっ』
 
 
『いゃぁ、悪ぃ悪ぃ』
 
 
本気で悪いなんて思ってないようないたずらっ子の笑顔を見せてくれる。
 
 
…そして、彼がこんな風に頭をぐしゃぐしゃと撫でたりするのは…今のところ私にだけ…だったりする。
 
 
『左之さんも新八っつぁんも…酒の話しに敏感なんだよ、ったく…』
 
 
『いいじゃねぇか平助、お前一人で可愛い女の子を2人も独り占めするなんざ罰当たりってなもんだ、なぁ?左之?』
 
 
『だな。んじゃ店はいつもの居酒屋って事で。俺は今から外回りで直帰する予定だから店には先に行ってるからよ』
 
 
原田さんはひらひらと手を振りながら私たちに背を向けた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ