薄桜鬼*ひと恋めぐり

□忘れられない
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春――。
新しく新入社員が入社して、私も社会人2年目をスタートさせた。
仕事にもだいぶ慣れてきた私は総務課でも色々とお仕事を任せてもらえるようになった。


『今村くん。悪いんだがこの書類を12階の会議室に持って行ってもらえるかい?』


井上課長にそう言われ私はエレベーターに乗り込み、12階へと向かった。
このビル、少し変わった造りになっていて、私が今居る総務課は東棟の3階にある。そして12階の会議室ってゆうのは西棟にしかない。…東棟が10階までしかないんだよね。しかも東と西を行き来するには5階にある両棟を繋ぐ長い長い廊下を渡らなければならない。…沖田さんが前に“総務課は食堂から一番遠い”って言ってたけど、食堂は西棟の1階にある。
そして……営業課は西棟7階。


…今まで社内で永倉さんに会うことがなかったのは、私が西棟に行く用事がなかったのと、ある程度時間を避けて出入りしてたから。


……………。


トクントクンと心臓が動きを主張しだした。


…な、何を緊張してるんだろう…お、落ち着け私…!!


東棟の5階に上がり、西棟へと続く廊下を歩き、またエレベーターへと乗り継ぐ。
このエレベーターが7階にさえ止まらなければ大丈夫…。
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