薄桜鬼*ひと恋めぐり

□イライラの理由
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ダンッッッ!!!


『珍しく荒れてんなぁ』


テーブルが壊れてしまいそうなほどに強く、俺は手にしたジョッキを置いた。


『…別に。荒れてなんかねぇけどよ』


そんな俺を、左之はまるで小さな子どもを見るような目で見てやがる。


なんなんだっ!!!
何でこんなにむしゃくしゃするんだっ!?
だぁぁああ、わっかんねぇ!!


『おかわりっっ』


俺たちの横を通りかかった店の店員にグイッとジョッキを差し出す。


『荒れてる理由は……女、か?』


何もかも見透かしたように目を細める左之から目を逸らした。


『左之、お前は女で悩むこたねぇもんな…羨ましいぜ全く』


『そんな事ねぇよ、俺だってそれなりに悩む事もあるぜ?』


…左之が女関係で悩んでるとこなんて今まで一度も見たことねぇけど?


知らず知らずにため息を吐いていたらしく、左之はまるで俺を試すかのような口調で喋り出した。


『平助とまみが付き合うようになったらしいぜ?』


運ばれてきたビールを一気に喉に流し込んだ。


『……知ってるよ、んな事』
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