薄桜鬼*ひと恋めぐり

□繋がらない想い
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永倉さんに奈良を案内してもらってからホテルに帰り着いた私は部屋に戻るなり、お千ちゃんからの質問攻めを受けていた。


『ねぇねぇ?永倉さんとはいい感じなんでしょ?』

『もう告白はするの?』

『ってゆーか、もしかしてもうそんな仲になっちゃってるの?』


どう答えればいいか迷った末、お千ちゃんに永倉さんの彼女のことを話した。


『自分勝手な女ねー!!聞いてるだけで腹が立ってきちゃうわっ』


お千ちゃんが眉を釣り上げて、ふんっと鼻をならす。


『それでも…永倉さんは彼女のことを忘れられないみたいだから…』


女子社員の中でも仲良くさせてもらってる方だと自分では思うけど…きっと永倉さんにとって私はただの後輩…。


『じゃあさ…、まみちゃんが彼女を忘れさせてあげたらいいんじゃない?』


『私が!?』


お千ちゃんは可愛い笑顔で頷いた。


『昔の恋を忘れるには新しい恋をするのが一番って言うじゃない?まみちゃん、永倉さんと仲いいんだしさ、もっと積極的に押したら永倉さんも元カノよりまみちゃんの方が気になってくるんじゃないのかな…』


…永倉さんへ気持ちを伝えた事はないけど、さすがにそろそろ気づいてるような気がする…それでも彼がそこに触れないのは、私に気持ちがないからなんじゃないかなって…弱気になってた。


でも……


『永倉さんて原田さんと同じ部屋だったよね、確か……』


お千ちゃんが顎に手をあて何やら考え事をしだした。
次の言葉を待っていると、予想だにしなかった言葉を口にした。


『今夜、私…平助と一緒に原田さんを部屋から連れ出すから、まみちゃんは永倉さんの部屋に言って気持ちを伝えるべきよっ』


『ぇえええ!?そ、そんなっ…いきなり!?』


『いきなりでもないんじゃない?永倉さん、気づいてるだろうし』


『でも……』


ゴクリと生唾を飲んだ私は考えた末、小さく頷いた。
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